【小さな山旅】鷲子山上神社の県境お守り…鷲子山(1) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】鷲子山上神社の県境お守り…鷲子山(1)

オピニオン コラム
鷲子山上神社の県境お守りとフクロウのお守り。どちらも大変魅力的なお守りで、結局ふたつとも購入した。
  • 鷲子山上神社の県境お守りとフクロウのお守り。どちらも大変魅力的なお守りで、結局ふたつとも購入した。
  • 大鳥居の中央が県境。
  • 県境の看板の前に、なぜか賽銭箱。
  • 楼門・安養閣。こちらの中央も県境。
  • 不苦労の石段。片道96段(苦労)。往復すると2回・96段で「不苦労」となるらしい。
  • 本殿の真横を横切る県境。
  • 不苦労の石段からは富士山も見えるとか。(この日は見えず)
  • 神社付近に駐車場はあるが、それではつまらないので登山道を歩くことに。この看板の左側に駐車して歩くことにした。
茨城県常陸大宮市と栃木県那須郡那珂川町の県境にある鷲子山(標高468m)および鷲子山上神社は、「栃木百名山」「茨城百景」「日本の自然百選」「栃木の景勝百選」といった数々の華々しい「百選」に選定されている。

更に、境内の千年杉は「とちぎの名木百選」で、本宮神社には「日本一のフクロウ像」がある。

■県境にある神社

何より驚きなのは、この神社の本殿・参道などの中央が、ちょうど県境にあたるということだ。例えば、大鳥居の前にある階段であれば、中心よりも右側(大鳥居を正面に見た場合)は茨城県、左側は栃木県といった具合である。その為、鷲子山上神社は、茨城県と栃木県の両県の指定文化財にもなっている。

このように、見所の多い山であるが、登ってみると呆気ない。神社に向かう道の途中に車を停めて登ったのだが、そこからだと登山道を20分ほど歩けば舗装路に出てしまい、舗装路から10分も歩けば山頂付近に到達してしまう。あまりに短い時間の登山ではあったが、落胆することはなかった。

そもそも、この山に登ることを決めた理由は、登山とは別のところにあったのだから。

その目的とは、お守りであった。「県境」と横書きで書かれた下に、「栃木県/茨城県」と縦書きの文字。神社が県境にあるということが、ひと目でわかるデザインだ。その昔、そのような変わったお守りを持つ変わった友人がいた。当時はそのお守りを見て何とも思わなかったが、それから数年経った今、何故だか無性に欲しくなった。その変わったお守りが、ここ鷲子山上神社で売られているのだ。

■「不苦労」を呼ぶ、フクロウのお守り

境内に到着するや否や、栃木県側の社務所に向かう。ずらりと並べられたお守りの中に、「県境」と書かれたお守りが確かにあった。
しかし、そのラインナップを見ると、ほとんどがフクロウのお守りで、県境のお守りはその片隅にちょこんと売られている程度である。

フクロウのお守りは、神社のシンボル・フクロウ(梟・鳥)と「不苦労」がかけられており、種類も豊富であった。金運上昇、厄除け、健康長寿、開運など、様々な願望に沿って作られている。その売り場面積からして、県境お守りの倍以上はある。つまり、それだけ人気ということか。

■「すべての願いが叶う」、県境のお守り

対する県境のお守りは秀逸なデザインだけでなく、その台紙には「すべての願いを叶える」と書かれている。すべての願いが叶ってしまうなんて、お守りの中でも最強ランクに位置づけられるであろう。

どちらを買うか迷った挙句に社務所の方の意見を乞うことにした。
「このお守り(県境のお守りを手に取って)、人気ありますか?」
「ああ、それね。あんまり人気ないね~」

如何に「すべての願いが叶う」と書かれていても、県境お守りの人気はないらしい。だが、「人気がない」と言われると、天邪鬼な性格ゆえに余計に欲しくなってしまう。それに、「若い時の苦労は買ってでもしろ」と言うではないか。

「じゃあ、これ下さい」
意固地になって、県境お守りを購入した。
だが、購入後に、既に「若い時」といえない年齢に達していることに気付き、帰り際にフクロウのお守りも購入した。

若くなくなったら、「不苦労」は買ってでもすべきである。
《久米成佳》

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