【Next Stars】物心ついたときには金メダリストを目指していた…トランポリン外村哲也選手 3ページ目 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Next Stars】物心ついたときには金メダリストを目指していた…トランポリン外村哲也選手

オピニオン ボイス
トランポリン 外村哲也選手
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■異なるタイプがしのぎを削る

---:難しい技に挑戦するのがいいのか。それとも難易度は抑えて完璧に美しい形をやるのがいいのか。その辺、意見が割れたりするのですか?

外村:選手の作戦としてはそうですね。その選手の持ち味だったり、世界一を目指すとなると、全部世界でトップクラスのものをそろえないと勝てない状態になっている。ただ、過程は少し違います。例えば世界一を目指すまでの過程で、難度を上げてからだんだん演技点が追いつくようにするとか。演技点がきれいにできてから、その後に技を入れても演技点が落ちないように少しずつ難易を上げていくとか。それは人それぞれで、難度点を獲得する方法も縦に回転するのかひねりなのか、という部分があります。

これが今、日本の面白いところで、いくつかパターンを言いましたがそれぞれに特化した選手がいるんです。例えば伊藤正樹選手は高さがすごくある。高さ点が採用されたので、それが武器になって。ただ、高さを保つということは、高くなればなるほど移動のリスクは大きくなるし減点も大きくなる。途中でリタイアしてしまう確率も高くなる。それにも関わらず高さを保って演技ができるということは、ある程度正確性もあるということなんです。

私は縦回転を得意としています。「トリフィスが強い外村」と言われています(トリフィス=縦回転の技を3回回る技の名前)。また、上山容弘選手は高さや難度ではなくて、とにかく真ん中でできる。伊藤選手もある程度真ん中でできるのですが、正確に枠の中というよりバッテンをとらえるところが上山選手の強み。とにかくいっぱいひねるっていう坂本鷹志選手もいます。いろんなタイプの選手が、ひとつの国の中に集まるってなかなかないんですね。日本の選手たちはすごく面白いんじゃないかなと思います。



---:トップ選手はどういうところで争っているのですか?

外村:日本のトップは、3人が注目選手になっています。高さが特徴的な伊藤選手。正確な演技ができる上山選手。私はトリフィスが強い。最近は高さも伊藤選手に引けを取らないという感じになってきて。結局はトータルで勝負になってくるんですが、試合によって伊藤選手が勝つときもあれば、上山選手のときもあるし、私のときもある。私はオリンピックは4位(北京)だったし、伊藤選手もオリンピックで4位(ロンドン)、上山選手は5位(同)。世界選手権でもメダルを個人で3人とも獲っている。本当に次、誰がオリンピックに行ってもおかしくない感じです。

---:トリフィスは難易度が高い技ですか?

外村:そうです。その分リスクもあります。あと、トリフィス自体、たくさん入れることができないものだったりする。そんな駆け引きがある中で、それでも自分はトリフィスが得意っていうのはありますね。

---:フィギュアスケートでいうトリプルアクセルみたいなものですか?

外村:近いところがあるんですかね。男子は4回転とかになってきていますが、女子フィギュアのフリーと、トランポリン男子のトリフィスは近い感覚でいいと思います。フィギィアは「何回トリプルアクセルを入れるか」、トランポリンは「何回トリフィスを入れるか」などメディアにも取り上げられているので。一概にそればかりでもないのですが、分かりやすいところで言えばそれになるのかな。

---:トリフィスにこだわってやってる?

外村:こだわりもありますね。同じように練習してもトリフィスが一番できるし、じゃあ飛距離も増やせていけるだろうと。やっぱり得意なところを伸ばすことが、オリンピックで勝つための作戦のひとつだと思って取り組んでいます。



■他の競技へいく選択肢はなかった

---:トランポリン以外の他の世界にいこうと思ったことはありますか?

外村:1回もないですね。他の(競技の)オリンピック選手とも交流がありますが、ちょっとこの人たちと違うのかなと思うところに、彼らほどスポーツに対して子どものときから思いが強かったわけじゃない、というのがあって。もちろん自分の中で、体操やトランポリンに対する思いは強かった。ただ、その分その世界しか知らない。他のテレビも見ないし、他のスポーツのことも知らなかった。その上で、この世界で一番になりたいと。

他の選手は、昔サッカーやったり、バスケやったり、いろんなスポーツをやって今の競技に出会った人たちが多くて。他のスポーツは何を見るとか、誰のファンとかいう話に僕は全くついていけない。そんな風になんか違うんだなと感じていたので、他にいくという選択肢は全くなかったですね。

---:それは両親の影響が大きかった?

外村:影響というか、環境ですね。父みたくなりたいというのはなくて、メディアとしては父親を超えるかどうかだと思いますし、父親に勝つためにという言葉を使ってもらうときもあるのですが、自分はそんな意識はない。体操を始めたきっかけとして父親は大きかったのですが、それとは関係なく単純に自分の中で、やるからには一番を目指したい、自分の中の最高のパフォーマンスを練習で積み上げていって、それを試合で出したい。そこに父に勝つというのはあまりないのです。

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《編集部》

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