---:格闘家と大学院まで行った経歴にはギャップがありますよね
松田:そうですね、自分は結構異色のルートをたどってきています。大学を卒業する頃に進路で迷い、本格的にアメリカで戦っていこうと気持ちが傾いたときに、「じゃあ、どうやってアメリカに残るか」ということになったのです。そこで最終的に自分が出した選択は、「大学院に進学し、格闘家と二足のワラジを履いて頑張りつつ、その在学中に世界レベルまで到達することができなかったら、格闘家としてやっていくことは諦めよう」というものだったんです。
学業の方も胸を張って日本に帰っていけるのか、というとそうでもありませんでしたし。その時点では森全体を勉強した感じで、まだ、誰かの上に立って、スペシャリストとしてやっていくイメージがなかったんです。森ではなく、葉っぱの細かい部分まで勉強していくのが大学院だと思ったので。
そう結論を出し、色々準備していたのですが「ビザを出さない」とそこで言われました。なぜかというと、大学院の授業形式がインターネットを通じた授業が多く、「その授業形式だと、世界中のどこにいても授業を受けることができる。アメリカにいる意味がないでしょう」という風に言われてしまったからです。
それでお先真っ暗になってしまい弁護士に相談したら、「ブラジルやタイでの試合経験があるから、それは国際的に活躍しているという証明になるかもしれない」とアドバイスされ、アスリートビザを獲得することができました。
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UFC 参考画像
---:学生ビザではなく、アスリートビザで滞在していたのですね。
松田:そうなんです(笑)。アスリートが本業としてアメリカに滞在していたので、正式な学生になってはいけなかったんです。肩書きが「学生兼アスリート」から、「アスリート兼学生」になっていたんですね。
---:現在の目標はなんですか?
松田:UFCに出ることよりも、残ることの方が大変なことなので、そこに尽きると思います。UFC、ぜひ見てください。リングとは違った、8角形の金網で試合する様子はまさに現代格闘技ですよ。
■編集後記~ビザ取得の裏事情
---:現在もやはりアスリートビザですか?
松田:そうですね。ただ、アスリートというよりも、P(パフォーマー)ビザというパフォーマーにあたえられるようなビザです。
---:そのビザは戦績などで評価されるのですか?
松田:いや、本当にビザの申請はピンキリでして。底辺の人がうまくやってポンとビザが出るようなこともあれば、すごい実力がある方でも、書類に不備があったりするとダメになってしまう場合もあります。
---:実力ではないのですね。その底辺の方はどうやってビザを獲得するのですか?
松田:裏ワザというわけではないんですけれど、PhotoShopなどを使ってちゃっちいところで開いたリサイタルなんかのポスターを盛ったり、ネットの記事に無理やりしてもらったりして知名度を証明する書類の一部にしたりするんです(笑)。
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