【Next Stars】氷上のF1、世界と1000分の1秒を争う律儀なタフガイ…リュージュ 金山英勢選手 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Next Stars】氷上のF1、世界と1000分の1秒を争う律儀なタフガイ…リュージュ 金山英勢選手

オピニオン ボイス
リュージュ 金山英勢選手
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今回のインタビューは金山英勢(かなやま・ひでなり)選手。

「会社の広告塔」として、リュージュの一線で頑張っていくか、もしくは会社で働いて頑張っていくか…。という選択肢で悩み、社会人1年目は会社での仕事をメインに過ごしていくことを決意した金山選手。

「スポーツ選手っぽくない」と言われる金山選手が、“氷上のF1”とも呼ばれる激しいスポーツ「リュージュ」に捧げる生き方のバランスは、どこか不思議でもある。

寒さが厳しい日本列島だが、熱いウィンタースポーツのひとつ、リュージュで世界と戦う金山選手に迫った。

***

■リュージュとは?

長野県ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟ホームページ
より引用

“リュージュとは、フランス語で木ぞりを意味する言葉です。 ドイツやオーストリアなどのドイツ語圏では、ローデル(Rodel)とも呼ばれています。

男子一人乗りと女子一人乗り、二人乗りの3種目があり、それぞれスタート位置(滑走距離)が異なります。 2014年のソチオリンピックからは、この3種目を続けて行うチームリレーが新種目として採用されました。

リュージュのスタートは、ボブスレー・スケルトンと違って走りません。 そりに座った姿勢から、前後に反動をつけて前に飛び出します。 二人乗り種目では、前の選手(パイロット)がスタートバーを握り、 後ろの選手(ヒンターマン)が紐を握って2人でリズムをとって前に飛び出します。 選手の手袋の先端にはスパイクがついていて、氷を叩くことでさらにそりを加速させます。“


【一人乗り】


【二人乗り】



■気になるリュージュ、スケルトン、ボブスレーの違い





■参考動画

“仰向けに寝た姿勢で、2本のそりの先端(クーへ)を足で挟んで滑走します。 この2本のクーへを内側へ押し込んでそりをしならせることで、そりが左右に曲がります。 頭をなるべく下げて平らにすることで空気抵抗を減らし、タイムを1000分の1秒まで競います。 ボブスレー・リュージュ・スケルトンの3競技の中では最もスピードが出て、最高速度が時速150kmを超えるコースもあります。”



■コースを知り、攻略していく

---:リュージュという競技について教えてください。

金山英勢選手(以下、敬称略):ただスピードが速いだけではなく、国によって異なる様々なレイアウトのコースについて対策し、それを攻略していくといった楽しいスポーツです。

会場、ビデオなどで見るときは一瞬ですし、かなり迫力のあるスポーツなので、いざ実際にやってみるとなると怖いと思うかもしれないのですけれど、元々はソリからはじまったスポーツなので誰でも楽しめると思います。




---:金山選手が感じるリュージュの魅力は。

金山:以前まではとにかくスピードが魅力に感じていたのですが、いまではタイムを縮めていくことの達成感が楽しみになっています。

基本的に冬しか滑ることができないので、滑ることのできない夏の期間のトレーニングがとても重要になってきます。

夏のトレーニングをいかに効率よくできたかによって冬のタイムも確実に変わってくるので、しっかりとしたトレーニングがきちんとタイムに反映されてくるというところも魅力です。

■大会の度にタイムが縮まった

---:リュージュに出会ったきっかけは。

金山:母親が、地元のリュージュの体験会の知らせを見て僕に体験してみないか、と声をかけてくれたのがきっかけです。20人以上の小学生と一緒に、150、200mという短めの距離なんですが、それを滑っていくのがとても楽しかったのを覚えています。

---:150m、200mを滑るとなると、どのくらいのタイムになるのでしょうか。

金山:20秒前後ですかね。正規のコースだと1500mほどあるので短いです。

札幌のコースは短くて、400m程度しかないので、変な滑り方をしない限りは本当に安全です。防具もつけていますし。

---:正規の距離が1500mということですか。

金山:いや、各国様々です。短いと1000m、長いと2000mのコースがあります。




---:タイムはどんどん縮まっていくのでしょうか。

金山:はい。僕の場合はタイムが遅くなったりするようなことはなかったですね。本当に大会の度にどんどん縮まっていきました。

---:一般の人がリュージュを体験できるところはどこにあるのですか。

金山:札幌、長野の2か所しか日本にはないです。そういった状況でもあるので、なかなか競技の普及がしにくい状況となっています。現にいまリュージュをしている人は、家がたまたまリュージュのコースに近かったり、親、親戚などがリュージュをやっていたりしてそれに影響されてはじめた、という人が多いですね。

■海外遠征でアイデンティティを学ぶ

---:リュージュをはじめて気づいたことなどはありますか。

金山:リュージュそのものというか、海外遠征でいろいろなところに行って、異文化に触れることができたというのは自分にとって大きかったですね。各国様々な選手がいるので、様々な言葉を覚えたり、各国の料理を食べたり、習慣なども知ることができました。今自分が住んでいる札幌がいかに高機能な都市かということが分かりましたし、札幌に生まれてよかったな、と思いました。

---:高機能に感じられたのはどのような体験からでしょうか。

金山:元々遠征で向かう先が田舎ばかりだったのでそう感じたのかもしれないですけれど、例えばドイツとかですと自炊とかする際にスーパーへ買い物に行こうとしても夕方17時で閉まっていたりですとか。コンビニもなかったのですごく不便だったです。その点日本だと24時間やっているコンビニが大体どこに行ってもあったりするので、そこは本当に便利だな、と。

あとは、景色が綺麗ですね…。海外はゴミが沢山落ちていたりする印象が強いです。

---:海外にはどのくらいのペースで行かれているのですか。

金山:毎年9月末から3月末くらいの間で5か月~6か月滞在していました。一旦1週間ほど全日本選手権に出場するために日本に帰って来るのですけれども、またその後はヨーロッパの方に飛び立ちます。

---:ヨーロッパに飛び立つと、その間は何か国くらい移動されるのでしょうか。

金山:10か国以上は行っていますね。ドイツには1か月ほど滞在します。




■会社勤務と遠征の兼ね合い

---:会社に勤められているとのことですが、この海外遠征の期間は会社との兼ね合いという点ではどのような体制をとっているのですか。

金山:2014年の4月からロジネットジャパンのグループ会社に所属して、社会人として働いています。現在は社会人としての活動をメインにしておりまして、空いた時間はトレーニングという形で動いています。トレーニングの時間は大幅に減ってしまったのですが…。

---:リュージュを続けるにあたって周囲、会社の協力という部分は大きいように感じます。

金山:すごくありますね。特に会社は、「今年は僕は海外には行かずに会社の業務をこなすことに専念したい」と言うと、「なんで海外に行ってくれないんだ」みたいな感じです(笑)。

会長、社長含め、社員の方々もとてもリュージュに理解を示してくれます。実は、これは入社してから知ったのですけれども、スピードスケートの中村将太さんが**「アスナビ」で採用になった会社だったのです。そんな情報もまったく知らず一般入社で僕は入ったんですけれども…(笑)。

*「アスナビ」は、世界を目指す現役トップアスリートの就職支援ナビゲーション。競技活動に専念できる環境を整えるために、企業からの支援・採用を望むトップアスリートと、採用を検討する企業側。双方にメリットがある、有益なマッチングを実現させることを目的に活動している団体。

■資金問題をどう乗り越えるか

---:競技資金に関してもさまざまな課題がありそうです。

金山:日本リュージュ連盟、JOC,ワールドチャレンジャー。オリンピックシーズンはIOCからもお金を頂いていましたので、その期間は大丈夫だったのですが、その他の期間ではお金に困ったこともありました。ただ、リュージュ関係のアルバイト、講習会みたいなものは単発的にしていたので、切実に困ったことはなかったかもしれません。

遠征以外の、トレーニング費用、消耗品、メンテナンスにお金がかかったかもしれませんね。

---:そうした部分も含めて、今後も会社員を続けながら選手を続けていく予定なのでしょうか。

金山:はい。海外遠征をどの程度していくかというのはいまのところはまだ具体的には考えていないです。とりあえず最初の1年目は「会社で働きながら」という形にしていこうと考えています。海外遠征してまた行くにしても楽なものではないのでこの先どうなるかはまだわからないです。

---:ちなみに会社ではどんな仕事をされているのですか。

金山:本社の営業で、いろいろな部署の仕事をもらいながら毎日勉強させていただいている感じです。色々といっぱいいっぱいです(笑)トレーニングは土日の週2回位で、平日は朝から晩まで仕事という感じですね。




■「え、リュージュ?なにそれ?」「口紅?」…マイナー競技が抱える課題

---:マイナースポーツ特有の、認知度における苦労などはありましたか。

金山:競技を紹介する際などには、「え、リュージュ?なにそれ?」「口紅?」などと言われることも多々ありました…(笑)。

入社面接の際も、「え、うちで支援してもらいたいの…?」みたいになってしまうからリュージュをやっていることを面接で言わないようにしていたんですね。ただ、「特技は?」って聞かれたらそれを答えるしかなくて…。そこから今の会社では話が進んでいったのです。

最後には、「もし、競技を続けるならうちにこないか…?」と社長に言われて。まさかそんなこと言われるとは到底思っていなくて、二つ返事で「お願いします」と答えてしまいました。そういう風に言って下さった会社にもっと貢献していきたいという気持ちが芽生えたのです。「会社の広告塔」として、リュージュの一線で頑張っていくか、もしくは会社で働いて頑張っていくか…。というところですごく悩んだのですが、もし自分が競技を引退したときに、会社に戻ってきて即戦力になれるわけがないということも頭にありました。

物流の会社なので覚えることも沢山ありますし、新入社員は検定とか研修とか受けてきているのに、僕だけリュージュがあってそれを受けることができていなくて…。そういったこともあって最初の1年は会社メインでやっていくことを決意しました。

これ以降は、正直まだわからないですね…。

■コーチもいないたった一人の日本代表、競技に対峙する精神

---:リュージュを通して人間として鍛えられたことがあったと思います。

金山:そうですね忍耐強くなりました。「待てる」ようになりましたね。海外だと飛行機に乗ることが年に30~40回ほどあるのですけれど、ダブルブッキングなどが多くて飛行機が飛ばないとか、受付がされていないとか、何十時間も、それこそ1日くらい空港で待っていなくてはいけなかったり。それをイライラするというよりも待てるようになりました。

他にも、日本人は、自分1人だけしか代表がいなかった時期がありまして、当時は日本と同じような、代表の人数が少ない国同士の選手が集まった集団で移動をミニバスでしていまして…。25、26時間車でずっと座っていたりしたので待っていても苦にならなくなりました。

---:リュージュという競技自身の影響というよりも、リュージュを続けていくにあたり環境変化があったのですね。知名度のお話も先ほどありましたが、リュージュ自体を広める行動というのはどのように行なっているのでしょうか。

金山:まずは自分の周りから知名度を高めていってもらうことにしています。以前までは「リュージュ…?なにそれ。」って言われることが多く、いちいち説明するのも面倒なので、正直あまり紹介していなかったんですけれども、今は積極的に紹介していくということをやっています。




---:ナショナルチームの競技者が1人になったことがあったということでしたが、そのときの感情や精神状態はどういったものだったのでしょうか。

金山:競技者は国内で50人ほどいるのですが、ナショナルチームで動いていたのは僕1人だった時期がありました。前回のバンクーバーオリンピックの時まではチームが存在していたのですけれども成績がふるわなく、ある大会において失格者を2人出してしまったので専任コーチが解雇されてしまったのです。皆そのタイミングで辞めてしまったんですね。そこから僕はコーチがいない状態で1人で遠征に行かなくてはいけなくなってしまったのです。

---:そこでやめなかったメンタル、どういった心構えで取り組んでいたのでしょうか。

金山:その後でも専任コーチを解雇された方からのアドバイスを個人的に受けながらやっていけたということもあります…。最初の年は本当に苦労しました。英語もドイツ語も当時はまったくできませんでしたし、ましてや一人で海外なんて考えられませんでした。2年前くらいからやっと慣れて来ましたね(笑)。

そうですね、あとは、考えるようになりました。1人の時間が増えたので、必然的に色々なことに対して考えるようになってきましたね。

---:どんなことを考えるようになったのでしょうか。

金山:過去をふりかえってみたり、過去の時点に対して、自分はいまどんな状態にいるのか…?ということなどをとりとめもなく考えていたりしていました。難しい環境や状況のなかでも、やれること、やるべきことを一つ一つ実行していくことで、次の世界に到達できると信じています。

---:最後に2015年度の抱負を教えてください、

金山:日本での活動を多めに予定しているので、リュージュを少しでも多くの人に体験することができるように動いていくつもりです。

▼インタビューこぼれ話

様々なマイナースポーツアスリートの競技資金の獲得やマーケティングをサポートしている 「アスリートエール」 代表理事の岩田一美さんは金山選手についてこう語っている。

岩田代表:すごく律儀な選手です。同業者の人間からも、「あんな律儀なアスリートはいない」という言葉を聞くくらいです(笑)。

金山:アスリートっぽくないと言われましても…(笑)じゃあ自分は、どうすればいいのかという感じです(笑)。

金山選手を応援!
《大日方航》
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