筆者の住む茨城県水戸市に関していえば、市内に山らしい山が存在しない。そのため、登山取材となれば、車で少々足を伸ばさないといけない。だが、忙しくてそのような時間が取れない。ならば、家から一番近い山はどこだろうと思い、探してみる。
そうして見つかった山が、今回の朝房山である。朝房山は、水戸市と笠間市の境に位置し、筆者の家から一番近い場所にある山だ。家から車で15分。標高は201.1mほどだから、登って下りて、2時間弱。家から近く、時間がなくてもさっと登り下りできてしまうコンビニエンスな山である。
さて、この朝房山。ちょっとゴミが多いのが難点であり、頂上からの展望がないのも残念なところ。道しるべもわかりにくく、終始なだらかな山道が続くので、面白みにも欠ける。だが、頂上には三角点があり、東屋があり、大きな石碑もある。それに、何といっても家から近い。さらに温泉施設にも近いという利点もある。
あまりに近すぎて山を旅する感覚は味わえないが、「ちょっとコンビニに行ってくる」感覚で、「ちょっと山に登ってくる」ことができる。例えば、午前中しか時間がない時、昼すぎに山に登りたくなった時。夏ならば夕暮れ前に山に登りたくなった時にでも、「ちょっと山に登ってくる」ことができてしまう。
そんな山が、近くにある生活。誰もが憧れるようなものではないが、日々の生活に小さな喜びを与えてくれる…だろう。今回の登山で、その小さな喜びを感じることができた。
《久米成佳》
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