■18歳の決断
最初のターニングポイントは2010年の夏。FC東京のユースチームに所属していた当時18歳の武藤は、チームから打診されたトップチームへの昇格を熟慮した末に断っている。
4歳でサッカーを始めたときから、プロサッカー選手になることを夢見てきた。FC東京のジュニアユースから順調にステップアップを果たし、実際にプロへの扉が開かれかけたときに、あえて回り道をすることを決めたのはなぜなのか。武藤はこう振り返ったことがある。
「サッカーを仕事にして、大人たちと戦っていく覚悟と自信がなかったんです」
慶應義塾高校に通っていた武藤はこのとき、サッカー人生の青写真を描き直している。内部進学できる慶應義塾大学で体育会ソッカー部に入部して、心技体をプロ仕様に成長させる。弱肉強食のプロの世界で生き抜いていくための絶対的な自信を手に入れたと確信したときに、新たな決断を下すと---。
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《藤江直人》
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