【小さな山旅】高尾山と天狗…高尾山(2) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】高尾山と天狗…高尾山(2)

オピニオン コラム
小天狗。別名・烏天狗ともいう。鳥のような嘴と羽を持つ。筆者お気に入りの天狗だ。
  • 小天狗。別名・烏天狗ともいう。鳥のような嘴と羽を持つ。筆者お気に入りの天狗だ。
  • この「たこ杉」にも天狗伝説がある。
  • 一号路はまるっきり参道。スニーカーでじゅうぶん歩けてしまう。
  • 高尾山の仏舎利塔。男坂・女坂のちょうど真ん中あたりにある。よく見ると、ここにも小天狗・大天狗がいる。
  • 大天狗。鼻が高く、羽団扇を持つ。天狗の中でも強い神通力を持っているとか。
  • 高尾山・薬王院大本堂。ここにもちゃんといます、天狗様。写真向かって右に大天狗。切れているけど左側には小天狗が。
  • 大本堂前の小天狗…だったと思う(一年前だから…)。
  • 高尾山は二等三角点。頂上にある。
てん-ぐ(天狗)…1.深山に棲息するという想像上の怪物。人の形をし、顔赤く、鼻高く、翼があって神通力を持ち、飛行自在で羽団扇を持つ。
2.高慢なこと。自負すること。また、その人。

広辞苑ではサラッと説明されているが、その実「天狗」について調べていくと由来や種類もいろいろとあるらしく、とてもこの場では書ききれない。こちらでは高尾山と天狗について、サラッと書かせていただくとする。

なぜ「天狗」かというと、高尾山は「天狗推し」の山であるからだ。高尾山には「大天狗」「小天狗(烏天狗)」の石像があちこちに建っており、売店には「天狗焼」という名のついた和菓子まで売られていた。どうやら、高尾山には天狗にまつわる伝説がいくつもあるらしい。

●高尾山と天狗伝説
不届き者を天狗が制裁する「ばちあたり」、足腰の弱い老人に天狗が一役買う「天狗さらい」、盗賊から母子を救った「天狗だおし」などなど。他にも、たこ杉、天狗の度胸試し、天狗わらい、天狗つぶて、天狗ばやし、やにつぶてと、その数は幾多もある。中には落語のお噺になっているものもあり、これがけっこう面白い。

●寝言から夫婦喧嘩に発展。高尾の天狗落語【天狗裁き】
旦那の寝言を嫁が「どんな夢を見ていたのだ」と追求する。しかし旦那は夢の話にまったく取り合わない。いぶかしく思った嫁はさらに追求し、やがて激しい夫婦喧嘩に発展してしまう。そして仲裁に入った隣家や家主、奉行所を巻き込み、挙句の果てには天狗まで…! 

皆が皆、なだめに来ているはずなのに、夢の内容が気になって、結局は嫁と同じく旦那を問い詰めてしまう。だが、口の堅い旦那は夢の話を決して話さず、その都度悶着に発展する。天狗にすらその堅い口を割ることはなく、怒った天狗が旦那の胸ぐらをつかみ、脅すところで夢は覚め…。というお噺だ。

「天狗、お前まで!」と突っ込みを入れたくなってしまう展開から、ストンと夢オチに落としてくる展開が楽しい。

●茨城県の山と天狗
そもそも山と天狗は切っても切れない関係である。日本全国、あちこちの山に天狗伝説はあり、筆者の住む茨城県の山にも天狗で有名な山がある。

中でも有名なのが、笠間市にある愛宕山。天狗に向かって「ばかやろう」と悪態をつく奇祭「悪態まつり」が催され、 愛宕山にあるスカイロッジは「あたご天狗の森スカイロッジ」という名が付いている。

市の商工会をあげて「岩間天狗まつり&ファンタジーナイト」という祭りも開催されている地域で、天狗との結びつきが非常に強い。他にも、筑波山や加波山は天狗を祀っている山だ。

このように、山と天狗の結びつきは深い。山に登る者であれば、天狗の存在は無視できない。もし、天狗をあざ笑いでもすれば、その時は自身が「2.高慢なこと。自負すること。また、その人。」の天狗と化しており、やがては「ばちあたり」と同じ結末が待っているだろう。
《久米成佳》

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