このところ日本のサッカーファンを賑わせている話題と言えば、FC東京の武藤嘉紀にチェルシーから、今夏の獲得に向け正式オファーがあったというニュースだろう。このことは海外でも移籍金400万ポンド(約7億円)のオファーとして報じられている。
現在は日本代表でもプレーする武藤嘉紀。まだ22歳と若く、これからの成長も楽しみな選手だが、チェルシー移籍となれば現実的には難しい問題も多い。就労ビザの件もそうだが、何よりイングランド・プレミアリーグで独走を続けるチェルシーには、すべてのポジションに各国代表クラスが揃っている。若手の有望株はレンタル移籍で出稽古に出され、結果を残せばチェルシーに戻れる状況だ。
チェルシーが日本人選手獲得に動いた背景には、来季から5シーズンのスポンサー契約を結んだ、横浜ゴムが関係しているともされる。今年5月の来日も噂されるチェルシー。プレミアリーグ制覇直後、そして日本人選手が所属しているとなれば、大きな話題となるのは間違いない。
チームを率いるジョゼ・モウリーニョ監督は、現地メディアでこの話題について聞かれ「現代ではサッカーと、商業的な利益を完全に切り離すことはできない」と話した。
「フットボールはビジネスで、産業だ。財政面についても考慮する必要ある。だがサッカークラブはサッカークラブだ。試合に勝利し、多くのトロフィーを掲げたい。トップクラブでプレーする資格がない選手と契約するなど、あり得ない」
現代ではサッカーも、他のプロスポーツ同様にビジネス、経済活動の一環であるという考えを示したモウリーニョ監督。武藤嘉紀という選手については「多少は知っている」としたものの、「ここで話すのが適切だとは思わない。彼はまだFC東京の選手だ。もしFC東京の監督が、チェルシーの選手について話したら、私は気分を害すだろう」と語るに留めた。
《岩藤健》
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