「いつかはツール・ド・フランスをナマで観戦したいなあ」とバクゼンと思い描いている人はたくさんいると思うが、フランスに行くなら2015年しかない。その理由はざっと数えただけでも5つある。
言わずと知れた世界屈指の観光大国。フランスを1周するこの自転車レースは常に美しき大自然、世界史の舞台となったモニュメント、美食とワインに接しながら進行していく。毎年のコース設計を担当しているベルナール・イノーはこう断言しているくらいだ。
「ツール・ド・フランスのコースを決めるときに最も重要なこと。それはおいしいワインとチーズがその町にあることだ」
フランス人のエスプリという言葉でかたづけてしまいがちな表現だが、現地に足を向けてみるとまんざらハッタリでもないと感じる。勝った負けたの選手はいざしらず、主催者もすべての関係者も、世界各国から集まった取材陣もフランスの景色や美食を楽しみながら23日間を時として楽しみながら仕事をこなしているのだ。
2015年のフランスを観光的側面から紹介してみると、たとえばルイ14世没後300年となり、ベルサイユ宮殿では10月から特別展が開催される。またナポレオンがエルバ島を脱出して200年で、ナポレオン街道各地でさまざまなイベントが企画されている。
ちなみにモンサンミッシェルが10年におよんだ大工事を完了し、陸地から完全に切り離された島になり満潮時には周囲がすっかり海で囲まれるようになった。ツール・ド・フランスがモンサンミッシェルで開幕するのは次の2016年なのでお間違えなく。
さて、ツール・ド・フランス取材を四半世紀続けているボクは、当然ながらフランスの観光地は気づかぬうちに足を運んでいる。そのなかで、フランス政府観光局が2015年の目玉として挙げているスポットを紹介してみよう。
【次のページ アルセーヌ・ルパンの奇巌城の舞台となった…】
《山口和幸》