
今週は上半期の総決算、第66回宝塚記念(GI、芝2200m)が阪神競馬場で行われる。
今年は、大阪杯連覇を果たしたベラジオオペラがファン投票1位で選出。さらに昨年の有馬記念覇者レガレイラをはじめ、昨年の菊花賞馬アーバンシック、一昨年の菊花賞馬ドゥレッツァに、ジャスティンパレス、ソールオリエンスと、GI馬6頭が集結する豪華なメンバー。大阪杯2着ロードデルレイに同3着ヨーホーレイク、天皇賞・春3着のショウナンラプンタ、昨年の大阪杯2着ローシャムパークなどが悲願のGI初制覇を狙う構図だ。
そんな中、秋春グランプリ連覇を狙うレガレイラが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■阪神未経験、血統面でも相性の悪さを露呈
昨春は、牝馬ながら果敢に牡馬クラシック戦線へ挑戦したレガレイラ。皐月賞は1番人気、ダービーでは2番人気に支持されるも、牡馬の壁に阻まれ苦汁をなめた。秋は牝馬同士の争いに矛先を変えたが、ローズS、エリザベス女王杯とも5着に敗れ”終わってしまったのか”と思われたが、グランプリ有馬記念で鮮やかな走りを見せて見事に復活し、その存在感を誇示して見せた。
4歳を迎え、さらなる高みを目指したいところだが今回は骨折休養明けで約半年ぶりの実戦。ファン投票も2位でレースでも人気を集めそうなところだが、さすがに厳しい戦いを強いられるだろう。過去10年の宝塚記念で、半年以上の休み明けで出走した馬は【0.0.0.3】。サンプル数こそ少ないものの好走例はない。勝ち馬は少なくとも年明け以降に一戦は出走しており、順調に使われてきた馬に分がある。
また、有馬記念からの直行は、1984年のグレード制以降わずか4頭しか出走例はなく【0.1.1.2】の成績。馬券圏内には来ているが、直行で秋春のグランプリ連勝は果たせていない。GI4勝のシンボリクリスエスは前年有馬制覇から直行で03年宝塚に出走し、生涯唯一の馬券圏外である5着に敗れた。前年秋に古馬GI3連勝を果たしたゼンノロブロイも、有馬から直行の05年宝塚で3着。名馬といえども長期休養明けでは宝塚制覇を果たせておらず、レガレイラも苦戦必至となるだろう。
加えて阪神が未経験という点もマイナス材料。京都開催だった昨年を除く過去9回、勝ち馬の7頭が阪神内回りコースへの出走歴があり、外回りも含めて阪神未経験で制したのは、23年イクイノックスのみ。国内外でGIを席巻した名馬クラスじゃないと、未経験コースへの対応は容易ではない。
本馬の父にあたるスワーヴリチャード産駒は関東圏で良績を残している一方、関西圏では成績が見劣る。産駒のデビュー以来、芝コースで一番多く勝ち星を挙げているのが17勝の東京。芝2000m以上でも【6.2.2.14】と好成績だ。一方、阪神ではわずか4勝にとどまり、芝2000m以上では【0.0.6.10】と、連にすら絡んでいない。さらに全場を通して、芝の重馬場では【1.1.2.25】の成績で、良馬場の複勝率29.7%に対して、重馬場では複勝率13.8%と極端に数字が悪くなる。今週末は雨模様の予報で、馬場が悪化するようなら評価を下げて良さそうだ。
レガレイラは有馬記念で、同世代のダービー馬ダノンデサイルや今回対戦するベラジオオペラ、ジャスティンパレス、アーバンシック、ローシャムパークらをすでに退けており、今回も期待を集める存在となるだろう。しかし、長期休養明けという点や阪神未経験、血統面の相性の悪さと超えるべき壁は高く、期待ほどの信頼感はないとみて、少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。