【ラ・リーガ】6連勝のレアル・ソシエダと好調の久保建英、バスクダービーから始まる本当の戦い | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【ラ・リーガ】6連勝のレアル・ソシエダと好調の久保建英、バスクダービーから始まる本当の戦い

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【ラ・リーガ】6連勝のレアル・ソシエダと好調の久保建英、バスクダービーから始まる本当の戦い
  • 【ラ・リーガ】6連勝のレアル・ソシエダと好調の久保建英、バスクダービーから始まる本当の戦い

日本代表MF久保建英がスペインを舞台に躍動している。

久保が所属するレアル・ソシエダは、リーガ第15節でオサスナと対戦。久保は先発して80分間プレーし、2-0の完勝に貢献。ダビド・シルバとブライス・メンデスによる元スペイン代表コンビと共に、華麗なボールタッチで攻撃をデザインし続け、スペイン紙『マルカ』は、「三大テノール」と称賛した。

ソシエダはリーガ第16節でアルメリアとも対戦。先発で71分間プレーした久保は、後半開始早々にシルバの先制点をお膳立てするなど、2-0の勝利に貢献。ソシエダはこの勝利で公式戦6連勝。リーガでは2強に次ぐ3位をキープ。UEFAヨーロッパリーグとスペイン国王杯でもベスト16進出を決めており、快進撃を続けている。

◆久保建英とダビド・シルバは「悪魔のようなコンビ」と地元紙称賛 バルサ、レアル追撃へ「相手守備陣を破壊する」

■チーム5番目のプレータイムを確保

久保はチームで唯一出場したカタール・ワールドカップではサイドで守備に奔走した面があったが、ソシエダでは、主に[4-3-1-2]の2トップの一角としてプレー。ラ・リーガで4番目に高い56.8%のボール支配率を記録するなど、ボールを繋ぐパスサッカーが根付いたスタイルとの相性が抜群だ。アルメリア戦後のインタビューでも、「ソシエダはこれまでのチームとは違って、僕を良い選手にしてくれる」と確かな手応えも語っている。

5シーズン目の指揮を執るイマノル・アルグアシル監督からの信頼も厚い。久保は昨年10月末から怪我で戦列を離れた時期もあったが、ここまでリーガ16試合中14試合に出場。12試合で先発起用され、与えられたプレータイム933分間は、チームで5番目に多い。

これまでの久保は、代表でもリーガでも守備面での課題をよく指摘されて来た。しかし、ソシエダでは最前線からプレスを仕掛け、相手GKやDFからボールを奪う場面も多く、守備面でも長足の進歩を見せている。

■シュート数激増の背景に、戦列復帰の主将FW

久保は好調をキープしているが、気になる部分もある。シュートの多さだ。

久保が今季のラ・リーガで出場11試合目までに放ったシュートは13本だったが、直近3試合では10本と激増。1試合平均で算出すると、「1.18」から「3.33」は大き過ぎる変化だ。

チームの攻撃により深く関れるようになった証明でもある。しかし、本来の久保なら可能性の高い味方にパスをする場面でも、強引にシュートに持ち込むなど、プレー面での変化が見受けられる。

背景にはエースナンバー「10」を背負う、FWミケル・オヤルサバルの戦列復帰がある。オヤルサバルは下部組織出身で、チーム生え抜きの主将。ラ・リーガでは4年連続二桁得点を挙げ、スペイン代表でも主軸だ。彼の欠場がなければ日本相手に金星を許すこともなかったかもしれない。代表の戦力値まで変化させるエースが長期離脱から復帰し、W杯による中断明けから途中出場を続けているのだ。

■[4-3-3]採用時の久保のポジションは?

ここへ来て、[4-3-3]が採用される機会が増えたのも、主将の本格復帰を見越しての措置だろう。もともとソシエダは数的・位置的・質的(個の能力)な優位性を活かしやすい[4-3-3]が浸透したチームだった。しかし、オヤルサバルが長期離脱した昨季終盤戦から[4-3-1-2]に置き換わった背景がある。

[4-3-3]が採用されると、久保は右ウイング起用が濃厚だ。直近の試合でも右サイドからのドリブルで打開し、得点に絡む場面もあった。十分にフィットするだろうが、システム変更は危機でもある。

シルバと守備的MFマルティン・スビメンディ、バランサー役のMFミケル・メリーノのトリオはチーム戦術上の屋台骨である。そのうえで、左ウイングをオヤルサバル、センターフォワードも6得点1アシストを挙げる長身FWアレクサンダー・セルロートで埋まる。チーム最多7得点3アシストを挙げるMFメンデスの得点力も捨てがたく、彼かシルバを右ウイングに置く可能性が出て来る。チーム総得点23の半分以上を挙げているセルロートとメンデスは外せず、2得点3アシストに止まっている久保のポジションがなくなるのだ。

ソシエダが次節に迎えるのは、同じバスク州に本拠を置く、アスレティック・ビルバオ。公式戦6連勝中のソシエダだが、ビルバオも同6戦4勝2分無敗と調子を上げて来た。

バスクダービーという舞台は主将を先発復帰させるには絶好の機会だ。久保にとって、絶対的なエースである主将とのポジション争いは厳しいが、この大きな壁を乗り越えることは、日本代表でもエースとなるための成長譚となる。

久保の本当の戦いは、このバスクダービーから始まる。

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文●新垣博之(しんがき・ひろゆき)

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