家の話や、目的地の話になった際、「ここからどのくらいかかる?」とフィリピン人に聞いたらまず間違いなく「It depends on traffic(交通渋滞次第)」と返ってきます。「交通渋滞なしなら15分、ありなら1時間~1時間半かな」という答えが返ってくることもしばしば。
2015年、国家経済開発庁(NEDA)は、マニラ首都圏の渋滞は毎日30億ペソ(2017年8月28日現在/ペソ=2,14円。2015年時点のレートだと80億円)の損害を引き起こしているという数字を出しています。マニラの渋滞はアジア有数の酷さでしょう。
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この深刻な交通渋滞を改善するべく、マニラ首都開発庁、MMDA(Metropolitan Manila Development Authority)も様々な対策をとっているようです。その対策のひとつが「Color Coding」。
車のナンバープレートの末尾番号により、「一定の曜日は走ってはいけない」というメトロ・マニラの交通規則です。(例、月曜日はナンバープレートの末尾番号1、2が通行規制など)
しかし、このシステムもうまくいっているとは言い難いようで、このシステム導入後も依然としてマニラの交通渋滞は深刻です。
マーケティングの仕事をしているというフィリピン人女性(26)は「結局お金持ちは車を2台所有するし、あまり機能していない気がする。渋滞の問題は電車の少なさだと思うわ。マニラ市内には電車が4本しかない。あと、国民性も大きいわね。ルールを守らないし」と明かしてくれました。
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そして、この交通渋滞がフィリピン人の国民性を形作っているのではないか、と英語教師をしているフィリピン人男性(28)。
「フィリピン人は時間を守らないけれど、それは交通渋滞にも理由があると思う。すべての待ち合わせの言い訳に、『渋滞が酷かった』と言い訳する。それで許されてしまうから、みんな遅れるのが当たり前になってしまう」
逆に言うと、日本人が時間に正確と言われるのは、「交通機関が正確すぎて、『渋滞が酷かった』という言い訳が通用しないから」なのではないか。なんだかこれも一因である気がしてきました。