弁慶七戻りに大仏岩、北斗岩に母の胎内めぐり…など、筑波山は奇岩の多さでも有名な山である。中でも有名なのが、ガマ石だ。
■ガマの口上が生まれた場所・ガマ石
ガマ石は、名前の通りガマガエルのような姿カタチをした岩である。元々は、龍のカタチに似ていることから雄龍石と呼ばれていたが、永井兵助という人がこの場所で「ガマの油売り」の口上を考え出したということで、「ガマ石」と呼ばれるようになった。
女体山から男体山へ続く連絡路にあり、人だかりができるほどに人気がある岩なので、見逃すことはあるまい。
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筑波山は奇岩の宝庫。こちらは北斗岩
では、その人気の理由は何なのか。
ガマ石は、ガマガエルの口が開いた様子に似ているのだが、その口の中に小石を投げ入れると、出世するとか願いが叶うとか言われているのだ。
その噂を信じて、ガマ石の口に小石を投げる人が急増。今では口の中は小石がいっぱいで、うまく投げ入れようにも中の小石にぶつかって弾き出されてしまうのがオチである。
そのような競争率の高い中、たった一度のチャレンジで、ものの見事に口の中に小石を投げ入れた猛者がいる。その男とは、何を隠そう、このコラムの筆者である。
昨年末に筑波山に登った際に、ガマの口に向けて何気なく投げた石ころは、何者にも邪魔されることなく、そのまま口の中に留まった。
bravo! 拍手喝采、スタンディングオベーションの光景が脳内に広がる。だが、現実では周囲に人影はなく、ただ一人その奇跡を喜び、噛みしめるのみであった。
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有名な弁慶七戻り
その寂しさに落胆している暇はない。この奇跡に乗じて、奇跡的な願いごとをすべきである。そうして、ガマ石に願いを託した。
「良いことがありますように、良いことがありますように…(ひたすら連呼)」
まさかの出来事であったので、願いごとが具体性の欠けたものになってしまった(流れ星に願いを込める際と同じく)。ひとまず必死に拝み倒したが、未だ良いことは起こってない気がする。
でも、ご利益があるとされるガマ石だから、この先良いことが起きるはず。それまで我慢して待っていよう。ガマだけに、ガマンが必要なのだ、きっと。