【山口和幸の茶輪記】サイクリングシーズンからハイキングへ…冬場は里山で健康増進 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】サイクリングシーズンからハイキングへ…冬場は里山で健康増進

オピニオン コラム
10月21日の一ノ倉沢。この時期なら家族連れでハイキングできる
  • 10月21日の一ノ倉沢。この時期なら家族連れでハイキングできる
  • 一ノ倉沢までは電気自動車が運行できるような舗装路。道路左脇に谷川岳山頂を目指す上級者ルートの道標がある
  • 湯檜曽川沿いの散策路から谷川岳を望む。降雨後は水かさが増すので要注意
  • 一ノ倉沢は10月下旬に紅葉のピークを迎える
  • 一ノ倉沢。アルパインクライマーがワクワクするような岩壁登攀ルートが幾多もある
  • 電気自動車が谷川岳ロープウェイから一ノ倉沢まで往復する
  • 一ノ倉沢から湯檜曽川に降りる散策路入口
  • 湯檜曽川沿いの散策路。鎌倉の里山のような気軽なルートだ
群馬県・谷川岳の一ノ倉沢というと岩登りの聖地というイメージがあるが、岸壁をながめるだけならピクニック気分で散策できる。1年前はロードバイクでここにアクセスしたが、今回は紅葉を楽しみながらのんびり歩いてみた。

1日500円で駐車できる谷川岳ロープウェイのベースプラザにクルマを置いて、徒歩で先に進むとおよそ100mで車両進入禁止のゲートが見える。この先も舗装された国道291号が伸びるのだが、通年でマイカー規制されているので、乗り合いバスや管理車両以外は進入することができない。

一ノ倉沢までは電気自動車が運行できるような舗装路

環境保全が目的なので二酸化炭素を排出しない自転車は規制外。だから1年前はロードバイクで一ノ倉沢を訪れたのだが、わずか3.4kmのほぼフラットなルートはのんびり走っていても20分で到達してしまう。だから今回はあえてハイキングにしたのである。

このルートのつづら折りは2カ所だけで、しかも急勾配なのは歩き始めの谷川岳登山指導センターのところだけ。すぐに平たんな舗装路になり、しばらくすると出現するのが谷川岳山頂に向かう西黒尾根入口の道標だ。さらに30分ほど歩いて一ノ倉沢の中間点となるマチガ沢に到着する。ここからも厳剛新道という登坂ルートがあって、どちらも中級者以上が登頂を目指す道だ。

一ノ倉沢は10月下旬に紅葉のピークを迎える

この日は軽装備なので、そういった登山道には目もくれず、さらに舗装路を進む。ロープウェイから1時間足らずで一ノ倉沢出合に到着。ベンチやトイレが完備され、乗り合いバスの「一ちゃん」が停車していた。途中でも同様のバスとすれ違ったが、それがたしか「倉ちゃん」だった。

ユニークな形状のバスは環境に配慮した電気システムで、歩行が困難な人や小さな子ども連れが有料(大人500円、子ども300円)で利用できるという。つまり一ノ倉沢そのものはお年寄りやハンディキャップのある人でも訪れることができるのである。

一ノ倉沢に到着すると映画や山岳写真で見たことのある豪快な景観が見渡せる。下からは西を向いて大岸壁を見るので、午前中のほうが日に当たって明るい岩肌をながめることができる。

電気自動車が谷川岳ロープウェイから一ノ倉沢まで往復する

そして太陽が徐々に南進していくと時間が経過するにつれて岩肌に陰陽がつけられてその表情が変わっていくのが分かる。早朝からお昼までそんな変ぼうを味わいながら写真を撮るのも楽しいはずだ。午後になると完全に日陰となるので、岸壁は暗くなるがそれはそれで別の表情を見せてくれるだろう。

一ノ倉沢から先は未舗装路となるが、幽ノ沢の先までは一般ハイカーでも無難に散策できるルートがある。ただしそこから先は危険なアルペンルートで、ハイキングコースとしては湯檜曽川沿いまで降りて平たん路を戻るのが選択肢のひとつだ。

この川沿いの道はちょっとした急勾配を上れば一ノ倉沢やマチガ沢に戻れるので安心だ。さらにはそのまま川沿いに下ればJR上越線の土合駅まで行き着くので、電車利用のハイカーには往復コースとしても人気がある。

湯檜曽川の河川敷。これが利根川となり太平洋に注ぐのだ

10月下旬に一ノ倉沢は紅葉のピークを迎えた。紅葉前線は次第に南下し、関東の里山にも近づいてきた。これからは険しい山岳には行けないが、里山を散策するにはいい季節だ。日本最南端の紅葉が楽しめる鎌倉は12月上旬が最も美しい。

下草も枯れて歩きやすく、落葉して明るい日差しがトレールの足もとまで降り注ぐ。夏場から秋にかけて見かけたマムシやスズメバチももう活動していない。ボクにとってはロードバイクを倉庫に収納して、里山歩きを楽しむ季節になった。
《山口和幸》

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