谷川岳へは西黒尾根というレベルの高いルートを選択している。ロープウェイを使えば天神平の尾根道まで標高を稼げるので、谷川岳は初級者でも登りやすい。
それに比べて西黒尾根は「日本三大急登」と言われていて、3カ所にクサリ場があり、距離3.7kmをひたすら登り続ける。登りはボクのレベルでもなんとか行けるが、知り合いのプロアルピニストにして「下りは遠慮したいなあ。どうしても下れと言われれば行くけど」と言うほど、初級者には手をつけられないほどの難易度があるという。
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2013年の西黒尾根。季節もちょっと違って紅葉前の9月だった
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最初の鎖場
西黒尾根は2013年と2014年に続く挑戦となる。初めての挑戦時は稜線を登る険しいルートとダイナミックな景観にワクワクしながらなんとか頂上にたどり着いた。2回目はツール・ド・フランス取材から帰国した直後で、しかも猛暑に見舞われたことからかなり手こずった。
このルートは後半になると日陰がまったくないのである。標高が低いだけに気温は高めで発汗から大量の水分が必要。ボクの用意した水の量ではちょっと足りなかった。2015年からは紅葉の季節に日程を変更したが、当日は運悪く強風に見舞われ、初級者をともなったので無理はせずに天神尾根にルート変更した。
8月の手術から3週間は痛みがあったが、担当医と相談をしながら徐々に運動を再開。1カ月後には神奈川・鎌倉のトレールを数時間歩けるようになった。サイクリングも再開して、シゴトとはいえ前橋の赤城山山麓や伊豆大島を走り回った。2カ月後には初級山岳の妙義山(群馬県)で今回のメンバーとともに足慣らし。ウエイトトレーニングもまだ負荷はかけられなかったが再開できた。
そして10月20日、初級レベルの登山仲間3人と谷川岳を目指した。天候が安定している午前中にあらかたルートをこなしたいことから、午前6時にふもとを出発したい。そうなると鎌倉市にあるボクの家は午前1時半に出発する計算となる。
■いざ谷川岳の西黒尾根へ
前日は運よく早めに眠れたので、時間どおりに起きて都内で3人をクルマでひろって谷川岳に。5時半到着を目指したが、一つひとつのことが予想外に時間がかかって出発は7時になってしまった。
この日は一般的な天気予報では快晴、関東地方は真夏のような暑さになると報じられていた。それでも民間気象予報会社が提供する山の天気サイトをチェックすると、頂上付近は風が強く、総合評価は「登山に不適」なC判定。前年はこの気象予報にたじろいで直前にルート変更している。
自分だけでは判断が難しく、しかしリーダーである自分が判断しないといけない。そこで装備を整えてから谷川岳登山指導センターへ。ここには谷川岳警備隊が常駐しているのでアドバイスを受けるためだった。決めたルートは西黒尾根だ。
午前6時に出発。それぞれがハンガーノックや脱水にならないように補給食や水分はしっかりと詰め込んだ。天気予報は降水確率ゼロだったが、ボク自身が心配性なので雨具とヘッドライトも全員に用意させた。
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出発して2時間40分は森林の中の急斜面をひたすら登る
さらには前回の登山で、頂上付近でコンロでお湯を沸かして温かいカップ麺を食べている人がうらやましかったのでコンロとカップ麺も。さらには「火がつかないこともあるので万一に備えておにぎりなどの昼食も用意して」と命じておいた。
ホントに心配性なのである。でも用意周到なら途中で不安になってパニックにもならないと思うので多少の安心感がある。そして結果的にこれが正解だった。登山の中腹で、もうここからは上級ルートで下山できないような険しい岩山で、まさかの風雨に見舞われた。(後半に続く)
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予想外に天候悪化。どうなる?