【THE REAL】ジャガー浅野拓磨が貫く信念…ドイツ2部から名門アーセナルでまばゆい輝きを放つために 2ページ目 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE REAL】ジャガー浅野拓磨が貫く信念…ドイツ2部から名門アーセナルでまばゆい輝きを放つために

オピニオン コラム
浅野拓磨 参考画像(2016年7月29日)
  • 浅野拓磨 参考画像(2016年7月29日)
  • サッカー日本代表を発表するバヒド・ハリルホジッチ監督(2016年8月25日)
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  • 浅野拓磨 参考画像(2016年6月7日)
  • 浅野拓磨 参考画像(2016年6月29日)
  • 浅野拓磨 参考画像(2016年6月7日)

◆サンフレッチェでやり残したこと…2016年夏がターニングポイント


サンフレッチェでのプレーに目を移せば、4年目にして背番号「10」を託された今シーズンはリーグ戦で4ゴールとやや物足りない数字を残している。通算でも公式戦で20ゴールしかあげていない。

もちろん、サンフレッチェでやり残したことは山ほどある。しかし、これからのサッカー人生を見つめたとき、ターニングポイントが訪れるとしたら2016年の夏になると感じてもいたのだろう。

そこに届いたヨーロッパの複数のクラブからのオファー。なかでも最後になって名門アーセナルが参戦したことに、浅野自身も「ちょっとビックリしました」と苦笑いしながらこうつけ加えてもいる。

「でも、どこに行ってもできるという自信はもっています」

確固たる自分というものをもっているからこそ、新シーズンの所属先がはっきりしない状況で幕を開けたリオデジャネイロ・オリンピックでもエースとして手倉森ジャパンをけん引することができたのだろう。

一気にスピードを加速させるアジリティの高さで相手の最終ラインの背後を突き、獰猛なまでにゴールを狙う。いしつか「ジャガー」と命名されたプレースタイルは、ハリルホジッチ監督をも魅了している。

「(アジア最終予選の)1試合目で浅野を使えるかどうかは、まだわからない。しかし、彼のことは非常に信頼している。オリンピックでも常に高いクオリティーを見せていたし、その若さで(A代表に)情熱をもたらしてほしいと思っている。6月のキリンカップで大島(僚太=川崎フロンターレ)と浅野のことはすでに確認していたが、オリンピックの3試合を見て再確認した。将来、浅野と大島がA代表に何かをもたらす可能性はかなり高い」

ワールドカップ・ロシア大会出場をかけて、9月1日に幕を開けるアジア最終予選は初日にUAE(アラブ首長国連邦)代表を埼玉スタジアムに迎え、6日の第2節でタイ代表と敵地バンコクで対戦する。

UAE戦での起用を「まだわからない」としたのは、宙ぶらりんな状況が浅野のメンタルに与えるネガティブな要素を、ハリルホジッチ監督が憂慮していたからにほかならない。


◆シュツットガルトの11番とその未来


しかし、一夜明けてシュツットガルトへの期限付き移籍が決まった。用意された背番号「11」には、1シーズンでのブンデスリーガ1部復帰を目指すけん引役になってほしいという期待が込められている。

これまでにFW岡崎慎司(レスター・シティ)、DF酒井高徳(ハンブルガーSV)が活躍するなど、シュツットガルトには日本人プレーヤーを快く迎えてくれる環境が整っている。

今シーズンもすでにMF細貝萌が加入。その細貝をアウグスブルク、ヘルタ・ベルリンで重用したヨス・ルフカイ監督が今夏から指揮を執っていることも、浅野にはプラスにはたらくはずだ。

グループリーグ2位のU‐23コロンビア代表に勝ち点で1差及ばす、決勝トーナメント進出への道を閉ざされたリオデジャネイロ・オリンピックを終えて、一時帰国した浅野はこんな言葉を残している。

「目指していたメダルに届かず非常に悔しい気持ちがありますが、この経験は必ずこれからに生きると思っている。海外や2年後のワールドカップでピッチに立って活躍する姿を、日本のみなさんに見せられるよう頑張りたい」

2011年1月に中京大中京高校(愛知県)からアーセナルに加入した元日本代表FW宮市亮も、浅野と同じく労働ビザを取得できずにオランダのフェイエノールトへ期限付き移籍している。

しかし、シーズン途中での加入だったにもかかわらず、宮市はレギュラーの座を獲得。12試合で3ゴールをあげる活躍を演じたこともあって、FAは2011年8月に特例での労働ビザ発給を認めている。

その後は残念ながらけがを繰り返し、プレミアリーグのボルトンやウィガン、オランダのFCトゥウェンテへの期限付き移籍を繰り返した末に、2014‐15シーズン後にはアーセナルとの契約が解除された。

現在はブンデスリーガ2部のザンクトパウリでプレーしているが、武者修行先の新天地で結果を残し、短い期間にせよ、正式にアーセナルの一員となった前例として浅野にとって大きな励みとなるはずだ。

「選手である以上は、試合に出たいという気持ちは常にもっているので、そういう環境でできればと思ってはいますけど……繰り返しますけど、どのような環境になっても目の前のことに対して頑張ることが一番大事。たとえ試合に出られなくても、ひたむきに努力していくことを継続させていきたい。いままでの僕はそのようにしてきたので」

1部で優勝5回を誇る古豪シュツットガルトは、すでに開幕したリーグ戦で3位につけている。上々の滑り出しながら、3試合で総得点は4。やや物足りないだけに、サポーターも熱い視線を浅野へ送る。

もっとも、ヨーロッパでもワールドカップ予選が開幕することに伴い、リーグ戦は中断される。新天地でデビューを果たす前に、A代表のメンバーとして初めて臨む公式戦、アジア最終予選でのゴールを目指して。心身ともに充実している浅野が、大暴れしそうな予感が漂ってきた。
《藤江直人》

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