かつてこのコラム(2014年9月4日公開)で、ツーリング車をオーバーホールした話をしました。せっかく生まれ変わった愛車もなかなか乗る機会は訪れず、輪行バッグに入れてクローゼットに置いたまま。それこそタンスの肥やしとなっていました。
それではあまりにももったいないということで、ふと思いついたのが実家に置くというアイデア。幸いにして僕の実家は兼業農家だったこともあり、農機具を置く長屋の2階には僕の部屋がありました。今は物置のようになっているそこは、自転車を置くには好都合。閉めきった空間ゆえ車体にホコリが積もることはなく、日が差さないためタイヤの劣化も防げます。
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物置と化した僕の部屋も、自転車を置くにはむしろ好都合
さて5月下旬の帰省以来、3カ月ぶりに対面した愛車は、タイヤの空気もさほど減っておらずそのまま走り出せる状態。少し難儀しながらも階段を担ぎ下ろし、点検がてら家の近くを走ることに。5分もたたないうちに到着した宇刈川は周囲に田園風景が広がり、堤防上には遊歩道が延びていました。
ところで、実家のある静岡県袋井市は江戸時代に東海道の宿が置かれ、今もJR東海道本線の駅や東名高速道路のICがあって交通は至便。また、遠州三山(法多山尊永寺・萬松山可睡斎・医王山油山寺)として知られる名刹があり、南下すれば太平洋の荒波に洗われる遠州灘、北上すれば市境を越えた先には美林が広がり、そこをアユ釣りでにぎわう川が流れています。
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新年には東海各県から初詣客が訪れる法多山尊永寺
「ゆるゆる遠州ガイドライド」などイベントの舞台にもなっている、まさにサイクリングの適地です。僕はそこに自転車を置くことにより、手ぶらでサイクリングを楽しむ特権を手にしました。
もちろん、そんな都合のいい実家がない人もいるでしょうし、実家があってもそこは、サイクリングを楽しむ環境ではない場合もあります。そこで考えたのがトランクルームの利用。サイズや地域によって料金が異なりますが、1.1×1.1×0.8mのロッカータイプで月額2900円というものもありました。分解して輪行バッグに入れれば自転車でもギリギリ収納可。
自身で試したわけでありませんから確かなことは言えませんが、検討する余地はあるでしょう。このように工夫次第で活用の幅が広がるのも、自転車の秘めたる魅力のひとつです。