東京五輪に向けてなにができるのか?…日本が注目すべき「クォールマーク」とは | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

東京五輪に向けてなにができるのか?…日本が注目すべき「クォールマーク」とは

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  • 海外の宿泊施設品質認証にかかわる諸制度一覧「訪日外国人旅行者向け『観光品質基準(日本旅館編)』の策定に関する調査研究」より
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 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、年々増加する訪日外国人観光客を顧客ターゲットに、インバウンドビジネスがチャンスを拡大しつつある。

 しかし、言葉をはじめ文化や習慣などが異なる外国人を相手にするには、彼らを迎え入れる体制づくりが重要となる。まずは、どのような商品・サービスであるかをわかりやすく伝え、それが外国人にとって魅力的であることをPRすることが肝心だ。

 そこで重要な役割を果たすのが業界認証制度。すでに諸外国では観光インバウンドに力を入れ、例えば宿泊施設では星の数で格付けをする業界認証制度を90カ国で導入している。どの施設がどのような内容とレベルの施設・サービスを備えているのか。国籍を問わず誰でもひと目でわかりやすくすることで、外国人観光客の利用を促進するのが狙いだ。

■イギリス、フランス、中国……海外で先行する認証制度

 まず、隣国の韓国では1999年の観光振興法の法改正により、宿泊施設の評価制度がスタート。基準をクリアした宿泊施設に対して「グッドステイ」マークを付け、例えば韓国観光公社の公式サイトでは「グッドステイ」マークの付いた宿泊施設を検索できる。

 評価項目では、「玄関・ロビー・廊下」「客室」「食堂及び厨房」「付帯設備の管理、運営」「従業員の福祉及び観光産業への寄与」「駐車場設備」「建築及び設備」「電気及び通信」「消防及び安全」「消費者満足度」といったものが挙がっている。


 中国では、1993年にホテル品質評価基準と星印による格付け制度が導入。2006年には、5つ星級を授与されて2年間が経過した宿泊施設のうち、さらに厳しい審査に合格したものに対して「プラチナ5つ星」を与える制度が始まった。

 評価項目は、「ホテルの位置配置が合理的で、お客様にとって活動するのに便利」「空調設備があり、室内各所の風通しがよく、温度・湿度が適宜である」「ホテルランクに相応しいコンピュータ管理システム」「施設と設備の手入れが行きわたっており、安全で衛生的である」「各種指示と案内用文字は少なくとも中国語と英語の両方で表記している」などといったものだ。

 一方、ヨーロッパに目を向けると、英国は、イングランド、スコットランド、ウェールズがそれぞれ独自の評価基準を導入していたが、2006年から共通の基準で英国内の宿泊施設を星印により格付けする制度「クォリティー・アセスメント」がスタート。星の数によって宿泊施設の清潔さ、雰囲気、ホスピタリティ、サービス、食事などのレベルが、初校者に対してひと目で識別できるようにした。クォリティー・アセスメントの資格を取得した宿泊施設は関係当局の公式サイトで紹介される。

 フランスは、1986年にホテル格付け制度が法律で定められ、星無しから4つ星デラックスまでの6等級にわかれていた。しかし、世界的にスタンダードとなりつつあった5つ星ランクが存在しないことなどが課題となり、制度の見直しを実施。2009年10月に新たな法律が施行された。

 見直し前後の大きな違いは、評価基準に従来からの施設ハード面だけではなく、サービスやアクセシビリティ(バリアフリー)、持続可能性といったソフト面が加わったこと。また、星無しランクを廃止して5つ星ランクを新設し、1つ星から5つ星までの格付けとした。

■日本が注目すべき「クォールマーク」とは?

 では、こうした認証制度のうち、日本で参考すべきものとは何なのか。海外の認証制度を長年研究している中部圏社会経済研究所 企画調査部の鈴木昭彦氏は、次のように話している。


「海外の品質認証制度は大別すると英米系と大陸系の2つの考え方があるように思われます。英米系は事業者におけるサービス品質向上の仕組みについて、公的機関が品質を保証、品質ランクを公表しています。一方、大陸系は部屋数などの外形的項目が中心で、サービスよりもハードを重視しています」

 両者を比較すると大陸系の認証制度では、評価を上げるためにはハードの改修などコストがかかる。一方、英米系は外国語対応や安全マニュアルの作成、接客スタイルといった経営努力で、コストをかけずにレベルアップが可能となる。

 インバウンドに向けて国内観光産業の品質の底上げを図る上では、英米系の品質認証制度が有利となる。その中でも、鈴木氏が注目しているのが、ニュージーランドの「クォールマーク」だ。

「クォールマークは宿泊施設だけではなく、スポーツやレジャーなどの『アクティビティ』をはじめ、バスやレンタカーなど交通手段となる『トランスポート』、山岳・観光ガイドやツアーオペレーター、土産品店などの『サービス』といった、さまざまなジャンルにまで制度を広げている点です」

 つまり、観光で訪れている間に利用しそうなあらゆる施設・サービスについて、品質をわかりやすく示すことで、外国人観光客にとって利便性の高い制度としているわけだ。

 今回の特集で紹介してきた「SAKURA QUALITY」や「ツアーオペレーター品質認証制度」は、認証制度における一例にすぎない。外国人が観光で訪れている間に利用しそうなさまざまな施設・サービスにおいて品質認証制度を導入し、それを取得することが、外国人観光客の獲得につながる。その際にヒントとなるのは、国籍や言葉、文化、習慣などの違いに左右されることなく、誰もがひと目で施設・サービスの内容とレベルを把握できる品質保証の表示だ。特に、宿泊施設は星の数による表示が海外では浸透しているので、この文化を日本でもいち早く取り入れたい。

【オリンピックと業界認証:7】海外はこうして成功した!

《加藤/H14》
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