最高地点といえども、高さはたかだか159m。眺望はそれなりに良いが、やはりそれなりである。だが、大平山の最高地点の眺望の良さは、遠くの景色にあらず、近くの景色にこそあった。
頂上直下の広場では、家族連れがビニールシートを広げてランチを食べている。その光景を眺め、子どもの頃の遠足を思い出し、ノスタルジックな気分になった。近くでは缶蹴りなどを楽しんでいる姿が飛び込んでくる。
山の急斜面で缶蹴りをする子どもたちは、何ともタクマシイものである。缶蹴りで遊ぶ子どもたちを、岩場に座って微笑みながら眺める若い夫婦。これは、実にウラヤマシイ光景である。
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展望台からの眺め
大平山の頂上から少しばかり下ると、茶屋がある。「峠乃茶屋」という木の看板が掲げられ、お茶やお菓子に軽食、ビールなどを販売していた。この茶屋も多くの客で賑わいを見せており、ひとりで訪れた筆者もウレシイ気分にさせてくれる(アルコールを摂取していたせいもあるが)。
そういえば…とビールを飲みながらふと思う。この山は小さい割には登山道がなかなかタノシイ。いっちょまえな雰囲気を持った道である。その雰囲気は、歩いていてどこかナツカシイ気持ちにさせてくれる。
という訳で、近くの景色がウツクシイのがこの山の魅力か。いや、そういう訳でもないようで、空気が澄んでいれば富士山も見えるし、そもそも太平洋の水面がキラキラと輝きマブシイくらい。
だが、それでは文章にまとまりがなくなってしまうから、やはりこの山は近くの光景がウツクシイということにしておこう。何ともシラジラシイ結論を出して、山を下るフテブテシイ筆者であった。