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パラリンピックを放送するために…銅メダルの選手が最も賞賛されたワケ

オピニオン ボイス
ステファニー・ジャレン
  • ステファニー・ジャレン
  • ステファニー・ジャレン
  • スカパー!パラリンピックチームのリーダーを務める渡部康弘氏

2008年から4年間は車椅子バスケだけを追っていたスカパー!だが、2012年からは満を持して中継競技を増やすべく、ロンドンパラリンピックに臨んだ。パラリンピックを放送する際、放送するかどうか迷った競技が複数あったという。そのうちの一つが、「ボッチャ」だ。

ボッチャは、パラリンピックの中で最も障害が重い選手がプレーする競技だ。中には手も足も使えず、ランプスという滑り台のような道具を使ってしかプレーできないような選手もいるため、映像的にもハードなものになることが予想された。

そこでスカパー!は、中継が可能か否か、一度大会を視察しに行ったという。その際にマスコミ用に配られた選手紹介資料を見て、彼らは衝撃を受けた。「なぜボッチャをプレーしているのか」という質問に、ボッチャをプレーする、ある中学生はこう答えていた。

「ボッチャをプレーしているときだけが対等でいられるから」

普段の生活では、食事もトイレも、本を読んだりするのにも誰かの助けがないとできない環境にある選手だけれど、「ボッチャをプレーしている時だけは、自分で戦術を考えて、相手と対等に勝負ができるという思いがあるのだ」と理解したのだ。

まさにスポーツそのものだと感じ入り、ボッチャがスポーツとして中継できるのかということを迷っていること自体が恥ずかしくなった。ここで、彼らはパラリンピックの競技は全種目、全競技、スポーツとして中継できると確信した。

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《大日方航》

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