【小さな山旅】うなぎと犬が組み合わさったような狛犬のある山…陰陽山 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】うなぎと犬が組み合わさったような狛犬のある山…陰陽山

オピニオン コラム
陰陽神社にある狛犬。他にはない狛犬らしいが、どこかで見たような姿かたちをしている。
  • 陰陽神社にある狛犬。他にはない狛犬らしいが、どこかで見たような姿かたちをしている。
  • 陰陽山森林公園。ここの駐車上に停めて、中を歩いていくと陰陽山(陰陽神社)がある。
  • 公園内の森にある踏み跡を辿ると、このような岩場に到着する。
  • 陰陽神社へと続く道。
  • 陰陽神社。
  • 連れの狛犬。対になっていて、こちらはちゃんと口を閉じている。
  • 陰陽石。震災前は寄り添うように立っていたらしいが、今は…。
  • 頂上と思われる場所にある展望台。
茨城県常陸大宮市にある陰陽山。「いんようさん」と読むが、正式な読み方は最近知ったばかりだ。今までは「おんみょうさん」と読んでいて、陰陽師と何か関係があるのかと期待をしていたが、まったく関係ないようである。

先に断っておくと、この山を登ってもハイキングをしたという達成感は得られない。ウォーキングをした充足感すら怪しいところだ。標高はわずか216mしかなく、山に登るというよりは、公園内を散歩したついでに神社でお参りした程度である。

もっと歩きたいというならば、公園内にちょこちょこと見かける踏み跡をたどるのが良い。ちょっとした岩登りができたり、ちょっとしたピークっぽい場所に到着したり、ちょっとした藪こぎが楽しめたり、ちょっとしたハイキング気分を味わえる。

陰陽山は「歩く」「登る」といった点では、その程度の山である。だが、それ以外の部分では、みどころが多い山だ。

●陰陽山のみどころ
山頂直下の陰陽神社のすぐ裏側には、陰陽石と呼ばれる御神体がある。この巨岩は、男性を表す陰石と女性を表す陽石が、岩同士が寄り添うように立っていることから、夫婦円満の象徴とされてきた…のだが、現在は先の東日本大震災によって岩が崩れてしまっている。

これでは夫婦円満どころか…と不吉なことを思わずにはいられない。どうにか直して欲しいものだが、あれから4年経った今でもそのままなので、修復も難しいのであろう。

それに、小さい山だが展望は意外と良い。神社の裏手に周ると山頂らしき展望台があり、そこから南の方角に筑波連山を眺めることができる。登るのにまったく労を要しない割に、得られる景色はなかなかである。

●漫画に出てきそうな狛犬
何より興味深いのが神社の前に建てられた狛犬だ。注意深く見ないと素通りしてしまうだろうが、よく見てみるとこの狛犬が何かおかしい。

通常見られる狛犬(獅子狛犬というらしい)のような猛々しさはまったく感じられず、足が短く、背中がひょろ長く、どこか間抜けな感じがする。このようなキャラクターを昔の漫画で見たような…。うなぎと犬が合わさったような姿かたちで、ワンワンと鳴き、時には日本語すら操り、少し前にテレビCMにも出ていた気がしたが、思い違いだろう。

狛犬が立っている台座には、「朝鮮北部高麗地方に於いて狩りのときに使われた~」ときちんとした説明が書いてあるではないか。

この説明書きによると、このような形状の狛犬は他では見られない貴重なものだということ。山や岩や展望はとにかく、この狛犬を見に行くだけでも、価値のある山だと思う。
《久米成佳》

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