■甲子園出場は強豪校に限りなく絞られる実情
これをもっと分析していくと、さらに強いといわれているところの800校もまた2対6対2の比率で分けられる。つまり、強い中のさらに2割の160校が、AランクのAということで、これが甲子園の常連校と言われるところでもある。仮にこれをAAとすると、近年は、確実にそのAAの中からしか甲子園に出場できないくらいに、強豪校が特化してきている。
もちろん、その中からしか全国制覇の学校は誕生していない。もっと言えばそのAAのチームもまた、2対6対2に分けられる。そうすると、全国で約30校がAAAのチームといっていいだろう。
それらの中の顔ぶれも、年によって微妙に入れ替えがあることは否めないのだが、今年でいえば東海大相模、敦賀気比、仙台育英、明徳義塾、関東一、作新学院、聖光学院などはAAAに値するといっていいだろう。今年は甲子園こそ逃したものの、大阪桐蔭ももちろんAAAであることには間違いない。
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■練習場、選手獲得、チーム内競争…環境の違い、鮮明に
こうして見てみると、近年の高校野球の二極分化がより鮮明に見えてくるのではないだろうか。二極分化というのは、このAAの範疇に入る学校と、Bグループに入る、多くの普通の学校との環境の差が、より顕著になってきているということである。
環境というのはもちろん、練習場の有無ということだけではない。もっと言えば、選手獲得に関する枠や特待生などの制度、その有無がとてつもなく大きな要素となっている。
つまり、いかに有望選手を獲得しやすい環境にあるのか、そのことが上位の2割に入っていく最大の近道ということになっていく。さらには、チームの中で競い合える環境があるかどうかということも、大事な要素になってくる。特に現在、複数投手が確実に必要になってきているという状況を考えれば、チーム内での切磋琢磨が、そのまま複数投手を育てていく要素にもなっていく。
しかも、潜在能力の高い選手を獲得していくことができれば、指導者の役割としては、その選手を潰していかないこと、というのも大事な役割だ。指導という要素では、技術的なことをうんぬんということよりも、いかにして高い素質の選手にいい環境を与え、その能力を生かしていかれるのか、さらには、自信を抱かせるのかということになっていく。
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