【国際ドローン展】無人車両ロボットとドローンのコンビで災害時に機能 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【国際ドローン展】無人車両ロボットとドローンのコンビで災害時に機能

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軽量で機動性が高いクアッドコプター「QC730」。写真計算などの自動航行に適する
  • 軽量で機動性が高いクアッドコプター「QC730」。写真計算などの自動航行に適する
  • 農業用に用いられるヘキサコプター「AC940」。農薬など液剤を散布に特化している
  • 雨にも強い全天候化型のヘキサコプター「CH940」。幅広い環境下で利用できる
  • 国土交通省の「次世代社会インフラ用ロボット開発・導入のための現場検証」で使われたドローンも展示(日立製作所)
  • 桜島の現場検証での観測飛行の機体。写真は測量用クアッドコプターをベースにしたもの(日立製作所)
  • 立ち入り禁止区域に入り、周囲500m四方の調査と測量を実施。画面は実現場でのデータだ(日立製作所)
  • 車両ロボットに搭載された有線給電型ドローンを飛ばして、上空から観察するシステム。ロボットとドローンの連携だ(日立製作所)
  • 無線が届かない場所で活躍する無人車両ロボット。いわゆる災害対応ロボットという位置づけだ(日立製作所)
 幕張メッセで開催された「第1回 国際ドローン展」に出展していたMTS&プランニングとエンルートの各ブースでは、産業用マルチコプターを中心に展示していた。

 エンルートは、品質を重視したドローンを開発しており、一方のMTS&プランニングは景観空撮映像の撮影や編集を手がけている企業だ。両社は今年から業務提携を締結。また、オペレーターが機体を安全に操作するためのトレーニングなども実施している。

 エンルートは、基本的にユーザーの要望に応える形で、カスタマイズしたドローンを個別に提供している。現在、同社に最も多く寄せられるニーズは測量写真だ。連続撮影した航空写真をつないで、2次元データを3次元化し、土量計測などに活用する事例も多いという。

 展示ブースでは、カスタマイズ品のベースモデルや、特殊用途の事例が紹介されていた。ベースモデルには、測量用クアッドコプター「QC730」、農業用ヘキサコプター「AC940」、土木用クアッドコプター「PG700」、全天候化型ヘキサコプター「CH940」などがある。

 「QC730」は、測量用の機体のほかに、ソニーのカメラセット「ILCE-6000L」(α6000)やバッテリー、充電ステーション、Agisoftの3Dスキャニングソフト「PhotoScan」などの機材をフルセットにしたパッケージ。ドローンのペイロードは4kgほどで、40分以上の飛行が可能だ。

 「AC940」は、5リットルの農薬タンクが付いた機体のほかに、スペアタンク、バッテリー、充電ステーションなどがセットになっている。農薬散布の際は、毎分1リットルを吐出でき、飛行時間は約7分間だ。耕作面積によって、バッテリー本数などの仕様を変更できる。

 「PG700」は、土木用として有線給電の仕様にすることも可能だ。プロペラガードを機体構造とし、安全性の高い飛行が行える。機体のほか、ソニーの「HDR-P1800」、カメラ用2軸ジンバル、画像伝送セット、有線給電ケーブル&電源ユニットなどで構成。機体のペイロードは4kgで、バッテリーを利用する場合は約30分ほど飛行できる。

 「CH940」は、全天候型であるため、さまざまな環境に対応できる。機体のほか、ソニーの「HDR-P1800」、画像伝送セット、バッテリー、充電ステーションなどでまとめられている。機体のペイロードは2.5kgで、約15分の飛行が可能だ。

 特殊な事例として、同社のマルチコプターにダストサンプラーを付けて粉塵を採集したり、熱線式風速計で風の流れを可視化するなど、ユニークな使い方もある。さらに同社では、桜島で実施された国土交通省の「次世代社会インフラ用ロボット開発・導入のための現場検証」にも参加している。

 参加したインフラ用ロボットは、NEDOのプログラムで開発されたもので、エンルートのほか、日立製作所、八千代エンジニアリング、産業総合研究所との共同研究の成果だ。このときは、桜島の立ち入り禁止区域にドローンが入って、周囲500m四方の調査と測量を行って帰還する検証だった。

 日立製作所のブースでは、この現場検証で使われた災害調査地上/空中複合型ロボットシステム(Unnmanded Surveillance System)も紹介されていた。

 エンルートのマルチコプターで災害状況を把握し、日立製作所の技術によって現場を3次元で可視化。これを避難誘導や復旧工事に役立てたり、災害情報データベースへ統合し、防災システムとして情報共有することで、自治体の災害計画に活用できるという。

 さらに災害エリアで無線が届かない場所は、産業総合研究所が開発した無人車両ロボットで接近して情報を把握したり、ほかの車両ロボットに搭載された有線給電型ドローンを飛ばして、上空から観察するシステムも展示していた。

 無人車両ロボットは、大型バッテリーや発電機を搭載できるため、ドローンの長時間運用が可能だ。またドローンを経由して、撮影している映像などをマイクロ波帯で通信中継できる。一方、ドローンの有線ケーブルから映像を地上へ転送し、転送先からフルHDのリアルタイム無線伝送にも対応する。災害地域では、無人ロボットとドローンの上手な連携が有効に機能しそうだ。

無人車両ロボットとドローンのコンビで災害時に機能……国際ドローン展

《井上猛雄@RBBTODAY》

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