国産ドローンのパイオニアとして知られる千葉大学大学院の野波健蔵特別教授が率いるベンチャー、自律制御システム研究所は、幕張メッセで開催された「第1回 国際ドローン展」にて、最先端の有線式給電方式ドローンなどを展示した。
最先端の有線式給電方式ドローン「MS-04EX」はクアッドコプターで、数10mの高さを有線式給電でホバーリングしながら長時間飛行できるものだ。テザーケーブルの制御により、凧のように高度を制御する。
ケーブルのたるみや絡まりを解消し、風の影響を最小限に抑えるため、地上に有線自動巻き取り装置を置くことも可能だ。また万が一、飛行中に通電が切れてしまうと墜落する恐れがあるので、非常用バッテリーも搭載し、自動的に切り替えて安全性を確保している。
農薬散布用の「MS-06LL」は、5リットルの粉の農薬を、自律飛行しながら散布できるドローン。あらかじめウェイポイントを設定し、ピンポイントでその位置に農薬を散布できるほか、リモートセンシング機器を搭載し、同時に生育調査なども行える。連続航続時間は20分程度で、6kmぐらいは飛べるようになっている(ペイロードによる)。
また、飛行機のようなユニークな形状のUAVの試作機も展示。これは長距離飛行用に開発したもので、航続距離100km、最大1時間の運行を目標にしている。前方方向と垂直方向にそれぞれ2つのプロペラを搭載したダクテッド型の推進器を搭載し、方向転換は水平翼のフラップで調整。
これにより、たとえば新しく誕生した火山性新島のような場所の監視調査に利用したい意向だ。また機体の材質をカーボン製のFRPにして軽量化と強度を高めることで、総重量8kgながら、ペイロードを15kg程度まで対応できるようするそうだ。なお本機の完成は、来年以降を予定しているという。
このほかにも6月末に投入するというミニサーベイヤー用フライトシミュレーターも実演。VRヘッドセットの「Oculus Rift」を装着し、プロポ操作によって3Dの飛行訓練ができるもので、これを使って事前に練習すれば、ドローン導入のハードルを下げられるそうだ。
凧のように高度を制御する有線式給電のドローン……自律制御システム研究所
《井上猛雄@RBBTODAY》