同じ年にジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスの両方を制することを「ダブルツール」と呼ぶ。過去に7人しか達成したことのない自転車競技界の偉業だ。どちらも全日程は23日間という最長の競技日程なのだが、このふたつの大会の間隔は1カ月ほどしかなく、コンディションを両方のレースに合わせるのは至難の業だ。それでもダブルツールを達成してしまうスーパースターがいる。
あまりにも強かったので「人食い鬼」と呼ばれたベルギーのエディ・メルクスは1970、1972、1974年と3回も達成。これは不滅の大記録だ。イタリア語でチャンピオンの最上級名詞「カンピオニッシモ」と呼ばれるファウスト・コッピは1949、1952年の2回。フランスの長嶋茂雄的な存在、ベルナール・イノーは1982、1985年。スペインの無敵艦隊、ミゲール・インデュラインは1992、1993年。
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さらにはフランスのジャック・アンクティル(1964)、アイルランドのステファン・ロッシュ(1987)と続く。しかも1974年のメルクス、1987年のロッシュは世界選手権ロードを含めたトリプルクラウンを達成している。
【ダブルツールってなんだ? ダブルジロじゃいけないの? 続く】