スターターとして起用されたオースティンはその役割に食らいつき、自信を身につけていきました。クリス・ポールがスターターに戻ってベンチからの出場になっても自分を疑うことなく、積極的にリングへ向かっていく姿勢がチームを勝利に導きました。

ヒューストン・ロケッツ対ロサンゼルス・クリッパーズ
とくにそのことを感じたのは、速攻でクロフォードからのパスを受けてレイアップに行き、アンドワンを獲得したプレイと、1対1の状況でスリーポイントラインから1mは離れている所からシュートを決めたプレイでした。あのようなプレイは自信に裏付けされた思い切りがなければ出てきません。父子として、そしてヘッドコーチとプレイヤーとしての信頼と情熱が、この第3クォーターに集約されているように思えました。
とはいえ、スポーツは美談に終始するべきものではありません。
結果的に大差がつき、オースティンの活躍が目立つ試合にはなりましたが、ロケッツはハーデンが25得点11アシスト、ハワードが14得点14リバウンドとダブルダブルを達成し、やはり気の抜ける相手ではありません。一方のクリッパーズはJJ.レディックが31得点とプレイオフキャリアハイを達成しました。
本来の主役たるは彼らであり、彼らが連戦の中でどのようにパフォーマンスを出し、修正をしていけるかが鍵になります。オースティンには一夜限りの爆発ではなく、毎回キーマン足り得る存在になってもらえれば、このカードはより楽しいものになるはずです。
美しい物語が結実したかに見えた第3戦は、まだせいぜい折り返し地点。物語は終わっても、戦いはまだまだこれからです。今回くっきりと別れた明暗が、今後のプレイオフをより盛り上げてくれるものと期待しています。