【山口和幸の茶輪記】ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスはどっちがエラい? | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスはどっちがエラい?

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ジロ・デ・イタリア
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自転車ロードレースの二大大会と言えば、5月のジロ・デ・イタリアと7月のツール・ド・フランスだ。「ジロ」と「ツール」という単語はどちらも「一周する」という意味で、23日間の日程でそれぞれの国をおおざっぱに一周するというレースなのだ。

この規模のステージレースは秋にスペインで開催されるブエルタ・ア・エスパーニャを含めて3つ。国際規定によって同じような形態に規格化される。1区間のおおよその距離。2回の休日。出場チームや選手数などなど。

ただしツール・ド・フランスのほうが格段に知名度は高い。日本でも、ジロ・デ・イタリアは知らなくてもツール・ド・フランスを知っている人は多いはずだ。観客数もバカンス時期に開催されるツール・ド・フランスのほうが格段に多く、国際的な認知度も高いので大会そのものがとても華やかだ。新聞や雑誌の販売数も、ジロ・デ・イタリアよりもツール・ド・フランスを取り上げたほうがはるかに売れる。

それではジロ・デ・イタリアよりもツール・ド・フランスのほうがエラいのか? というと必ずしもそうではないようだ。実際に両者を現地で観戦した人に言わせると、「ジロ・デ・イタリアのほうがスゴいよね。あの盛り上がりはツール・ド・フランスにはないでしょ!」と興奮気味にまくし立てる。

ただしちょっと待ってくれ。冷静になって考えてみよう。

ジロ・デ・イタリアはここ20年こそ国際化されたものの、それまではイタリア国内イベントに過ぎなかった。つまりイタリア選手が過半数を占めていた。こうなるとさまざまな地域で育ったイタリア選手が大会に参加する。いわば日本でのかつての甲子園のように、地元出身の選手を応援するのは身内として熱が入るのは当然だ。

しかも沿道には年季の入った男性ばかりが集まる。「オンナコドモは家に置いてくる」のがイタリア流。優勝を争っていたりなんかしたら、レース通のオヤジがライバル選手に罵声を浴びせるなんて当たり前だ。

一方のツール・ド・フランス。国際イベントだけに選手も観客も世界中から集まってくる。世界各国から選び抜かれたスター選手がお目当てだ。季節は優雅な夏休みで、リラックスした気分で前日から沿道に陣取り、家族全員でアウトドアを楽しむ。だからツール・ド・フランスは観光であり、お祭り。スター選手にわけへだてなく「頑張れ」と声援するのがフランス流だ。

ボクがフランス系だからといってツール・ド・フランスの肩を持つワケではないが、二大大会を見る人たちに明らかな温度差があることは事実だ。もちろんどちらが過酷かと言えば山岳の要素が多いジロ・デ・イタリアに軍配が上がる。ジロ・デ・イタリア主催者も近年はツール・ド・フランスをまねて一生懸命にショーアップを図っている。

それぞれの国民性や歩んできた歴史を知ればさらに興味深い事実を知ることができるかもしれない。ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスに興味を持つことで、アメリカを発信源とした情報に寡占されがちな日本人でも欧州文化を理解することができるはずだ。
《山口和幸》

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