総合優勝争いが本格化したのは第10ステージ。今大会最初の個人タイムトライアルが行われ、リオ五輪の同種目で銀メダルを獲得したサンウェブのトム・デュムラン(オランダ)が圧勝した。総合成績でモビスターのナイロ・キンタナ(コロンビア)を逆転し、2分23秒差をつけて首位に立ったのだ。

サンウェブのトム・デュムラン(オランダ)
デュムランは2016年も大会初日の個人タイムトライアルを制して、通算で6日間首位の座を守った。三大ステージレースでは各2勝を挙げた実績があり、中でも2015年のブエルタ・ア・エスパーニャでは終盤まで総合優勝争いに加わった。
「優勝したことに驚きはないが、2分23秒のアドバンテージは素晴らしい。でもボクは過去にたった1日で数分遅れたこともある。この大会はまだまだ先が長い」とデュムラン。
イタリア中部の丘陵地で行われた第11ステージは、ブエルタ・ア・エスパーニャで2年連続の山岳王に輝いているディメンションデータのオマール・フライレ(スペイン)が初優勝した。同選手は序盤に形成された25人の第1集団に加わり、サバイバルレースを制した。

イタリア中部の丘陵地で行われた第11ステージ
デュムランは、総合成績の上位選手とともにゴールし、マリアローザを難なく守った。
さらに第12、13ステージはクイックステップフロアーズのフェルナンド・ガビリア(コロンビア)が大集団のゴール勝負を制し、第3、第5ステージに続く区間勝利を挙げた。大会4勝は、コロンビアの英雄的な存在のルッチョ・エレラ、ナイロ・キンタナの通算3勝を上回る最多勝利記録。さらに22歳の4勝は2004年のダミアーノ・クネゴに続く2人目の快挙となった。
2日間の平たんステージで無難にその座をキープしたデュムランが底力を発揮したのが第14ステージだ。最後の25kmで標高差900mを駆け上がるレース。デュムランは2016年のツール・ド・フランスでも似たようなコースで優勝していて、「ボクに向いた区間だ」と前日からねらっていた。レースはデュムランを含む4人の接戦となり、最後はデュムランが抜け出して優勝。今大会2勝目、大会通算3勝目だ。
「明日からは複数の峠が待ち構える区間が続く。最終日のミラノはまだまだ遠い」とデュムラン。

第14ステージ
22日に3回目の休息日を過ごし、いよいよ本格的な山岳ステージの戦いが始まった。首位デュムランと2位キンタナとの差は2分41秒。体重が軽く上り坂に強いキンタナが逆転する可能性は極めて高い。デュムランは2015ブエルタ・ア・エスパーニャで得意の個人タイムトライアルで首位に立ちながら、最終日前日の山岳で陥落した苦い記憶がある。
2年連続3度目の総合優勝をねらうバーレーン・メリダのビンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)は3分40秒遅れの総合4位。記念大会にもかかわらず地元イタリア勢の区間勝利がなく、ニーバリに母国の期待がかかる。
大会は28日にミラノでフィナーレを迎える。