【澤田裕のさいくるくるりん】クルマなら当たり前のオートマチックが、自転車にはなぜないのか? | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【澤田裕のさいくるくるりん】クルマなら当たり前のオートマチックが、自転車にはなぜないのか?

スポーツ まとめ
「オーヴ」のツアーイベントでは、自動変速機の付いたスムーバーが使われる
  • 「オーヴ」のツアーイベントでは、自動変速機の付いたスムーバーが使われる
  • ハンドルの左右に付いたスイッチを押すことで、手動で変速することもできる
  • 昨年の秋に登場したガーミン・エッジ1000Jは、従来機種より画面が大きく、より高機能となっている(写真提供:いいよねっと)
  • ガーミン・ベクターJでペダルに加わる力を計測。その数値はGPSに表示される(写真提供:いいよねっと)
  • ガーミン・エッジ1000Jなどに付属するセンサーで、ペダルの回転数や車速を計測(写真提供:いいよねっと)
  • シマノのワイヤレスユニットと接続することで、Di2のギヤ位置が表示される(写真提供:いいよねっと)
オートマチック(AT=自動変速)が当たり前の自動車。販売台数比率で95%以上と、圧倒的シェアを占めています。ひるがえって自転車はどうでしょうか? マニュアル(MT=手動変速)ばかりでATが見当たりません。

シマノ・Di2やカンパニョーロ・EPSといった最新の電動式変速システムも、変速機そのものを動かすしくみに人力は関与していませんが、いちいちスイッチを押さないと変速しないという点で違いはありません。

いえ、もっと正確に言わなければなりませんね。ごくわずかではあるものの、自転車にもATがあります。その代表がシマノのサイバーネクサス。車速に応じて内装式の変速機(8速)が自動で切り替わるようになっている一方、「それはイヤ」という人のため、電動式変速システムと同じようにスイッチで切り替えるモードも備えています。

僕は自転車のATを高く評価しています。メカ好きの人なら変速も楽しいのでしょうが、ATならそれを自転車に任せ、意識をハンドルとブレーキの操作に集中させることができるからです。また、特に初心者の場合は変速操作が苦手で、いつ変速したらいいのかがわからないということもあるでしょうから、その煩わしさを解消する利点もあります。また、僕なんかも停車するときにギヤを戻し忘れ、重いペダルのまま発進することがありますが、停車時に自動でローに切り替わるATならそんな失敗とも無縁です。

ところが前述したサイバーネクサスはシマノのカタログから姿を消し、同社のアンテナショップ「オーヴ」のツアーイベントに使われるスムーバーぐらいでしか見かけません。話をうかがったところそれも今ある限りで、徐々にアルフィーネDi2に移行しているとのこと。スラムにもオートマチックスという内装の自動変速機がありますが、これは2速ということでサイバーネクサスに代わりうる存在とはいえません。

なぜ自転車にはATが普及しないのでしょうか。動力が乗った人自身ということで感覚に負う部分が大きく、どのタイミングで変速すればいいのか、そのチューニングが難しいということはあるでしょう。何を基準に変速するのかという問題もあります。サイバーネクサスでは車速が基準となっていましたが、同じ速度でも軽いギヤでペダルをくるくる回したい人もいれば重いギヤでペダルをゆっくり回したい人もいるわけで、それが利用者の不満となって表れていたように思われます。

サイバーネクサスが登場した当時とは異なり、今はペダルの回転数やペダルに加わる力を計測するシステムがいくつも開発されています。これらを活用することにより、人間の感覚に見合ったタイミングで変速するシステムを開発できるのではないでしょうか。たとえばガーミンの最新GPSとなるエッジ1000Jは、ペダルの回転数やペダルに加わる力の値だけでなく、シマノのワイヤレスユニットを接続すればDi2のギヤ位置も表示しますから、それらの数値を解析し、逆にエッジ1000J側からDi2に的確なギヤ位置を指示することもできそうな気がします。

機械オンチの僕でも思いつくことですから、すでに開発は進められているかもしれませんね。
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