【澤田裕のさいくるくるりん】千代田区のコミュニティサイクル「ちよくる」を体験。見えてきた課題は? | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【澤田裕のさいくるくるりん】千代田区のコミュニティサイクル「ちよくる」を体験。見えてきた課題は?

オピニオン コラム
幕末の歴史の舞台となった桜田門を見上げる
  • 幕末の歴史の舞台となった桜田門を見上げる
  • 練成公園のポートに並ぶコミュニティサイクル
  • 自転車の後部に設置された操作パネル。ここにICカードをかざしたり、パスコードを入力したりする
  • 坂道で威力を発揮する電動アシスト自転車。タイヤは太くてごいつもの
  • 皇居の周辺には見どころがたくさん。背後に見えるのは法務省旧本館
  • 東京国際フォーラム最寄りのポートで返却。完了すると確認メールが届く
この連載のコラムの初回(2014年2月27日公開)で紹介した都内のコミュニティサイクルが、江東区に続いて昨年10月には千代田区(愛称は「ちよくる」)や港区でもスタート。

この「ちよくる」を実際に借りて区内を巡ってきましたので、その様子をお知らせします。

◆1回会員の場合、最初の30分が100円から

利用を始めるにあたって、まずはウェブサイトで会員登録。貸し出し&返却の方法は2種類で、ICカードを鍵とするかしないかに分かれます。自転車の操作パネルでICカード(交通系、おサイフケータイなど)を使って会員証登録をした場合、以降はそのICカードをかざすだけ。ICカードを鍵としない場合は、利用するたびサイトにログインし、開錠パスコードを取得します。

すでにICカードを持っている場合は、前者のほうが簡単で便利ですね。なお、このICカードは本人認証に使われるだけで、実際の支払いにはクレジットカードが使われます。



気になる料金は1回会員の場合、最初の30分が100円(4月以降は150円)で、超過した場合は30分ごとに100円加算されます。月額会員だと最初の30分は何回利用しても無料となりますが、その代わりに基本料が月に1000円(4月以降は2000円)。ちなみにこの料金には、損害賠償保険も含まれています。

◆BIKKEが性能を発揮

区内に設置された貸し出し&返却スポット(ポートと言います)は28カ所。その中から東京メトロ銀座線「末広町駅」から歩いて1分という練成公園を選びました。ここは隣に中学校の跡地を利用して作られた「アーツ千代田3331」があり、文化活動の拠点として利用されています。ここから靖国通りを西に向かうことにしました。

用意された自転車は、ブリヂストンサイクルの電動アシスト自転車「BIKKE」です。臨海部となる江東区では同社の「VEGAS」という3段変速の自転車でしたが、アップダウンが意外と多い千代田区ではその威力を存分に発揮。最大勾配が20%、15mの標高差のある九段坂も難なく上りきれました。



一方で車重が30kgもあるため、取り回しには苦労します。バッテリーの残量が少ないものもありますから、借りる際に確認するといいでしょう。タイヤはMTBのような太くてごついもの。おかげで路面の段差は気になりませんし、パンクの心配もほぼ皆無です。

坂を上ったあとは、九段坂上交差点を左折して内堀通りを下り、桜田門や法務省旧本館、日比谷公園に立ち寄って、有楽町駅近くの東京国際フォーラム最寄りのポートで返却。距離は7kmほどで所要時間は110分、料金は400円(税込み432円)でした。都心を巡る際の足として、その役割を十分に果たしてくれたようです。

◆ポートの拡大が必須

コミュニティサイクルでは、点在するポートに駐輪するのが基本です(月額会員だと30分以内の貸し出し&返却を繰り返せば、基本料だけで済みます)。

「ちよくる」の場合、隣り合うポートまでの距離を計算すると平均720m。とはいえ区の中央部に皇居があるうえポートの設置場所が偏っているせいで、実際には2km以上離れたものもあります。

先進となるパリのヴェリブが300m間隔を目安としているのに比べて見劣りし、「探さないと見つからない」という点で利便性を損ねています。期間が2017年3月末までと限られている実証実験とはいえ、誰もが利用する足とするためにはポートの拡大が必須でしょう。
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