そこで、20年以上もそんなことをしているボクが、アルプスの勝負どころを観戦する設定で実際に手配してみた。
ツール・ド・フランスの観戦スタイルは大別して3つある。レンタカー&徒歩。電車&徒歩。そして自転車だ。
ツール・ド・フランスのスタートやゴールは駅近くに設定されるとは限らないので、電車でその町までアプローチしても、肝心の観戦ポイントまでは徒歩あるいはサイクリングとなる。
交通規制は数時間前から、山岳区間になると前日から行われるので、レンタカーの場合はそれまでにコース脇に陣取るか、規制地点までクルマで近づいてそこから先は徒歩か自転車でコースまで移動するというのが基本だ。
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地上のものとは思えない景観を見せるイゾアール峠
自転車利用は体力が必要だが、ベストな観戦スタイルではある。クルマの渋滞に巻き込まれることなく、観戦ポイントやその夜のホテルまでたどり着くことができる。
体力には自信がないけれども、レンタカーを借りる資金的余裕があるなら、交通規制が始まる前に沿道に乗り込んで、思い思いの時間を過ごしながら選手たちがやってくるのを待つのもいい。これは、バカンスを利用した現地の人たちに多い観戦スタイルだ。
こうした移動手段の問題はそれぞれの体力や資金に応じて選択すればいいが、観戦のポイントとなるのは宿の確保だ。
欧州はクルマ社会だけに郊外の駐車場つきホテルは満室でも、駅前のホテルは意外なほど空いているケースが多い。
そこは経験がものを言うのだが、近年は国際的なホテル予約サイトがそれを補ってくれる。まさにピンポイントで宿を探すことができ、しかも最安値で確保できるので利用価値は極めて高い。
ボクが利用しているのは「ホテルズドットコム」というサイトで、ツール・ド・フランス期間中だけで25泊するくらいのヘビーユーザー。そのため半額料金などの適用も頻繁に受けることができ、経費を大幅に節約している。
近年は「Airbnb」という予約サイトを経由して、現地の部屋所有者(ホスト)に提供されたスペースを間借りすることもできるようだ。
さて、実際にホテルを予約してみた。7月20日にアルプスで開催される第18ステージ、ブリアンソン~イゾアール間を観戦する方法。
せっかくなので18日にブリアンソン入りして、近くにゴールする第17ステージも観戦。ブリアンソン市内に3連泊する日程を設定。宿泊予約サイトではブリアンソン駅から6kmほどのところに滞在型リゾートホテルのツインルームが今でも予約できる。
3泊食事なしで5万円ほどで、ツインルールなので2人で泊まれば1人2万5000円となる。たいていは前日までキャンセル無料、現地のチェックアウト時払いでいい。ホテル代が高いと思ったら、国境を越えてイタリアに行って宿を取ればおよそ半額で済む。
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ホテルの窓から広場を見下ろす
イゾアール峠は、ブリアンソンの町から21km離れている。この日のコースはイゾアール峠の南面を登るので、北面のブリアンソン側はゴール後の関係者が下山するルートとして規制される。
一般車両はイゾアール峠に向かうことを許可されないが、徒歩と自転車は規制外だ。ちょっと厳しい上り坂であることはナイショにしておこう。この峠が全日程の中で最後の勝負どころとなるので見逃すことはできないし。
結果的に最適な手段は自転車しかない。愛車を日本から持ち込むか、市内でレンタサイクルを借りるかだ。往復の航空券20万円、フランス国内移動3万円。ホテルは3泊で5万円プラス他行程分の宿泊費。レンタサイクル代1万円。合計30万円だ。
ちなみに、パリのシャルルドゴール空港からブリアンソンまで鉄道で行く場合は、レイルヨーロッパなどの日本語予約サイトを利用すると便利。
シャルルドゴール空港から地下鉄などでパリのリヨン駅に行き、そこからTGV(テージェーベー)に乗って2時間半でバランスへ。バランスからは地域圏急行のTER(テーウーエル)で4時間。料金は2等で1万5000円ほどだ。どちらも自転車の持ち込みができるが、TGVの場合は駅窓口で申請して持ち込み料金を支払う。
ツール・ド・フランスは観戦するのもいいが、そのコースを走ってみるのもいい。
プロ選手が走るコースのうち1区間に一般サイクリストが挑戦できるのがエタップ・デュ・ツールだ。毎年1万人が参加する人気イベント。2017年は7月16日に開催され、コースは第18ステージのブリアンソン~イゾアール間。日本では国際興業が公式エージェントとなり、観戦ツアーが催行されている。