この催しは「競輪選手が乗る自転車を作るフレームビルダーの参加により、1988年に始まったもの」(自転車文化センター学芸員の村山吾郎さん)とのことで、今回は2日間開催となってから過去最多となる42社(90台)が出展。そのうち8社は初出展となります。ビルダーやメーカー担当者の人柄が垣間見えるトークショーや座談会も、話者を変えながらの計6回が予定されています。こちらは電子メールやファックスでの事前申し込みが必要ですが、「空きがあれば当日予約も受け付けます」(同)とのことです。
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出展される自転車の多くは、フレームを構成する各パイプ(チューブ)を溶接したスチール製。カーボン製などと比べて製作工程がシンプルなため、パイプの種類や長さ、バイプの曲げ方やパイプ同士をつなぐラグ(継手)まで注文主自身が決めることができます(ラグを使わず、じかに溶接する方法もあります)。これにより乗る人の体格や乗り方にピッタリ合ったフレーム、好みによりさまざまな工作を施したフレームを作ることができます。
私が所有するツーリング車もオーダー車です。峠越え専用となるこの自転車は、担ぎやすくするためにポンプをシートチューブと後輪の間にセットし、大型のサドルバッグを載せるキャリヤを取り付けました。フロントギヤは小振りで、勾配のきつい上り坂に対応。フラットハンドルとフラット用ブレーキがハンドル&ブレーキ操作を楽にし、急な坂道でも無理なく下れます。見た目も大事ということで、ラグにはすっきりしたデザインとなるイタリアンカットの物を選び、フレームの色は深海を思わせるメタリックブルーとしました。
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出展するビルダーやメーカーはロードバイクがメイン、あるいはツーリング車が得意などとそれぞれ個性豊かです。その自信作を目にすれば、希望を叶えてくれるビルダーやメーカーがおのずとわかります。疑問に思うことがあったら、その場でじかに聞いてみればいいのです。ビルダーもメーカーも、ことオーダー車に関しては注文主である私たちと直接やりとりするわけですから、ショップと同じ意識で気軽に接すれば大丈夫です。
ショップの店頭に並ぶ完成車は、その場でお金を払えばすぐに手に入ります。一方でオーダー車は多少の知識を必要としますし、注文してから手元に届くまでに1カ月から2カ月、場合によっては1年以上かかる物もあります。その代わりモデルチェンジとは無縁で、古くさくなることはありません。自転車を一生ものと考えるなら、オーダー車を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。