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これまでボクが自転車に乗るときは、コンタクトレンズを装用したうえでお気に入りのアイウエアをかけて出かけていた。どうしてメガネではいけないのかというと、強い紫外線を長時間浴び続けると健康を害するおそれがあること、疲労を感じやすいこと、ホコリなどが目に入りやすいことが挙げられる。
でもコンタクトレンズ代金もそれなりにかかるし、装着にも時間がかかる。走っている途中で外れたときもあって、そんなトラブルが発生した場合はとにかく安全が確保できない視力なので歩いて帰る必要もあった。ツール・ド・フランス取材時も長時間屋外にいるときは、「度付きのアイウエアがあったら気軽でいいなあ」と夢描いていた。
ということでアイウエアのトップブランド、オークリーの直営店「オークリーストア原宿店」を訪ねた。どうしてオークリーかと言えば、ボクがツール・ド・フランスを初取材した1989年のツール・ド・フランスで総合優勝したグレッグ・レモンが愛用していたからだ。
【ツール・ド・フランス14】アイウエアを初めてかけたときは笑われた…グレッグ・レモン
店舗で対応してくれたのが副店長の仲村美史さん。メガネ販売店で視力検査を担当していたキャリアがあるとのこと。ストア(アウトレット除く)には仲村さんのような技術スタッフがいて、度付きレンズの相談にくる人の対応をしてくれる。店内奥には立派な機器を供えた部屋があり、視力測定ができる。
仲村さんに「どんな使い方をするのですか」と質問されたので、「自転車に乗るとき」などと利用方法を伝える。実はこれが重要だ。前傾姿勢で上目遣いになりがちなサイクリングシーンでは、焦点の位置がわずかに上方になる。さらにフレーム形状によってもその位置が変わってくる。このあたりは技術者の腕の見せどころで、利用者の使い方に最適なデータを作り上げていく。さらに仲村さんにアドバイスをもらいながらフレーム選びを行い、レンズのカラーなども決める。
こうして強度の近視のボクでも-6.00というかなり強いレンズで作れることがわかった。これまでは対応できなかった強いレンズ度数のようだが、最新技術を応用したことでカバーできる範囲になったとのこと。ちなみにボクの視力は「0.1」の記号が分かるためには3mほどまで近づかなければいけないレベルだ。(個人差やモデルによって対応可能度数は変わる)
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価格は4万円からオーダーできる。さらに驚いたのは遠近両用の累進多焦点レンズも簡単に作れること。サイクリングなら走行時に安全を確保できるような広い遠用部を持ちつつ、サイクルコンピュータの表示も無理なく見える設計に。ゴルフならスコアカードが見えるように、釣りならルアーの付け替えもできるようにと、スポーツに応じた最適設計が取り入れられる。
フレーム選びを含めて1時間ほどでオーダー完了。通常の眼鏡店では在庫したレンズを加工して即日のうちに仕上げてくれるが、レンズのカーブがモデルによって千差万別のスポーツアイウエアはラボと呼ばれる工場で1枚1枚オーダーメードされる。その工程がまたスゴい。次回はオークリーラボに潜入してボクの度付きアイウエアのできあがりまでをレポートしたい。(続く)