2014年の甲子園は大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた。
今大会の試合に目を向けると、龍谷大平安(京都)が開幕試合に春日部共栄(埼玉)に破れ、140km/h投手を4枚そろえた東海大相模(神奈川)は、盛岡大付(岩手)に競り負けるなど、大会序盤は強豪と目されたチームが姿を消すことが印象に残った。それほど実力は拮抗していた。
また、打撃陣が好調を維持するチームが打ち勝つ姿は今年も多くみられた。試合の序盤に得点シーンが多く、例年のように思いがけぬ展開となる試合、好ゲームは随所にみられた。
さらに近年はSNSの普及で、夏の風物詩である甲子園に対して、個々の意見も広く浸透するようになった。
春日部共栄の女子マネージャーが野球部をサポートするために、自身の環境を変えてまで野球に懸けたというストーリーに対しては、賛否両論。ジェンダー論や差別論など、SNSで個々の意見が交錯し、メディアもそれを追いかけた。
東海大四の西嶋亮太投手が投じた超スローボール。これには、Twitterで意見を発した大人に対する批判が殺到。この意見を発した本人が謝罪するという形で事態は収拾した。
いずれにしても、インターネット上のサービスで、個人のコメントが集積する格好になり、もの言う人々の意見が直接当人まで届くようになった。
春日部共栄の女子マネージャーは、今回の件を前向きなエネルギーに替え、今後も邁進していくことを表明しており、西嶋投手は、問題の意見が飛び交った次の試合でも、超スローボールを投じた。
インターネット、SNSの利用は近年急速に浸透し、これまでマスコミから一方通行で情報が流れていたところ、個々人の意見が積み重なって大きな話題になっていく。
まもなく100回目を迎える日本スポーツの伝統行事、甲子園。一発勝負に懸ける若者の姿には、時代を超えて多くの人が感動、魅了されてきた。
SNSやインターネットの適正な利用は、その伝統行事をよりよいものにすることができる。前向きな意見を交わし、熱戦を繰り広げる高校生たちを盛り上げる、視聴者も甲子園をよりよいものにすることができる、参加できる時代になった。
《編集部》
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