誰しもが、人生で一度くらいは山に登った経験があるだろう。だが、その後も継続的に登る人は決して多くはない。山を続ける人と続けない人の違いは、その後の出会いにあると思う。
それは、一緒に山に登ってくれる人との出会いだ。その存在があるとないとでは、人生の中での山との関わり方が大きく異なってくる。
◆山旅の道連れを探そう
山の初心者であれば、山旅の道連れは山に精通している人が良い。山に登るのに必要なもの、服装、注意点、道順など、山を知っている人であれば的確な答えを示してくれる。「この山には落葉樹が多くて…」などと、山についてのウンチクを語れる人であればベストだ。山の楽しさも恐ろしさも知っている人と一緒に登れば、山に対する興味は自然と深まるだろう。
◆山の師匠は、水辺のスペシャリスト
筆者にもそのような出会いがあった。茨城県の御前山でアウトドアガイド&ツアーをしている「ストームフィールドガイド」の代表、山本滋さんがその人である。筆者の山の師匠的な存在だ。
山本さんは、栃木県と茨城県を流れる清流・那珂川を拠点に、川や海を中心としたアウトドア・ツアーを提案している。過去にはサーフカヤック競技で優勝した経験を持つ、水辺のスペシャリストだ。山本さんがカヤックを始めたきっかけは、若い頃に自転車で全国を旅していたころに遡る。旅の途中でカヤックと出会い、その魅力に惹かれてどっぷりと水辺の世界に浸る。そして、勤めていた会社を辞め、現在のストームフィールドガイドをスタートさせた。
◆山本さんが語る里山の魅力
山本さんは、カヤックを通じて自然の中を「旅」する楽しさを知る。その興味の対象は水辺から山にも広がり、日本アルプスなど数多くの山に登った。山の本を読み漁り、知識を蓄え、水辺だけでなく山についても詳しくなった。
筆者と山本さんが一緒に登るのは、茨城県の里山が多い。以前に、山本さんが茨城県の里山の魅力を話してくれたことがある。
「緑が生い茂った里山ならではの風景の中を歩くと、自然の中に入っていっているという実感がわきます。あまり人の手が加えられていない自然が存在するのが、茨城の里山の魅力ですね」
梅雨空が広がる6月上旬。山の師匠と一緒に、里山の魅力に触れる旅に出た。
《久米成佳》
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