【Wリーグ】2024-25シーズンから2ディビジョン制に移行 「いつも笑顔で!」原田裕花・新会長 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Wリーグ】2024-25シーズンから2ディビジョン制に移行 「いつも笑顔で!」原田裕花・新会長

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【Wリーグ】2024-25シーズンから2ディビジョン制に移行 「いつも笑顔で!」原田裕花・新会長
  • 【Wリーグ】2024-25シーズンから2ディビジョン制に移行 「いつも笑顔で!」原田裕花・新会長

一般社団法人バスケットボール女子日本リーグは6日、Wリーグ新体制発表記者会見を行った。

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■Wリーグ新会長は、初のアスリート出身者

会見では、新体制と新たなステートメントについて説明が行われ新たに就任した原田裕花会長は、「Wリーグでは初のアスリート出身の会長。選手を心から応援したいと引き受けた。引退後、選手たちが頑張る姿を見てきたが、心から感動する試合が多かった。経験を生かし選手に寄り添い、未来の子どもたちが輝けるステージを作っていきたい。またWリーグをたくさんの方に知ってもらい、 多くの方に応援していただけるようなリーグになるよう努力したい。まずは14チームの選手たちと実際に対面し交流を持ちたい」と意気込んだ。

新会長を含むWリーグ女性理事 撮影:SPREAD編集部

また高橋雅弘専務理事は、「これまでWリーグ、前身の日本リーグ時代から25年間、リーグ運営や発展のために活動をしてこられた、歴代の会長をはじめ役員や参加チームの選手、スタッフ、クラブ経営者、全国都道府県協会、スポンサーの方々、そのほか関係してくださった方々、何よりファンの方々に、改めて感謝と御礼を申し上げたい。そういった先人の方々の心をしっかり受け止めて、 これからのリーグの繁栄のために、改革と進化を遂げたい。リーグの試合をより一層質の高いものにし、ファンの方々の心を震わせられるような試合を数多く見ていただく。試合を見たい、バスケットをやりたい、応援したい、こういった感情や感動を与えられる発展したリーグに」と熱く挨拶した。

また、残念ながら準優勝に終わってしまったが、6月26日から2日にかけて行われたFIBA女子アジアカップ2023にも触れ、「代表が強くなり世界で常時活躍できることが、このリーグの発展につながる。リーグでのプレーの質向上が日本代表の強化にもつながる。それがファン拡大や普及につながる大事な要素になる。そして先人の方々への恩返しにもなるということを肝に命じて頑張っていきたい」と続けた。

Wリーグのフィロソフィー 撮影:SPREAD編集部

そして有明葵衣理事、伊集南理事が、新たなリーグのステートメントを発表。半年以上議論を続け、活動する上で拠り所にできるものであり心の真ん中におけるものを意識し検討されたという新ステートメントは、

みんなに「W」をVARIETYVALUESW LEAGUE

フィロソフィーは、「バスケットボールを通じて多彩な力を結集させ、元気・感動・勇気を届け、笑顔あふれる社会に買献する」こと。

ビジョンには、「最高峰の競技力と挑戦し続ける姿勢で『世界中の目標となるリーグ』へ」「する人・みる人・支える人が一つとなって『日本中に笑顔を届けるリーグ』へ」「社会で輝く人を育み、人生を豊かにする『Well-beingなリーグ』へ」、これら3つの柱が掲げられた。

■2ディビジョン制で「質の高いトップリーグ」へ

Wリーグは上部、下部の2ディビジョン制を第26回大会(2024-25シーズン)から採用する。より公平なレギュレーションのもと、競技レベルが近いチーム同士によって好ゲームが常に繰り広げられる「質の高いトップリーグ」を目指し、さらにディビジョンという段階を設定することで、参入への門戸を広げることも目的としている。

今年10月に開幕する第25回大会(2023-24シーズン)では、所属する14チームが2回戦総当たりで対戦し上位8チームによるプレーオフが開催される。競技成績によって次シーズンの所属ディビジョンが決定するという。そして第26回大会には2ディビジョン制がスタートし競技成績により次シーズンの昇降格が決定する。合わせて、第26回大会に参加可能なチームは、23年6月までに理事会の承認が必要となり、事実上既存の14チームのみとなることも発表された。

第26回大会は、新たなレギュレーションが採用され、上部リーグである「Wリーグプレミア(仮称)」は全8チーム4回戦総当たりのレギュラーシーズンを経て、上部4チームがプレーオフへ進出する。7位のチームは下部リーグ2位チームとの入替戦に臨み、8位のチームは下部リーグに自動降格となる。プレーオフは中立地開催で行われ、セミファイナルはレギュラーシーズン1〜4位による2戦先勝方式、ファイナルはセミファイナル勝利チームによる、3戦先勝方式が予定されている。

下部リーグである「Wリーグフューチャー(仮称)」は、全6チーム5回戦総当たりのレギュラーシーズンとなり、1位のチームはプレミアに自動昇格し、2位のチームはプレミア7位チームとの入替戦に臨む。入替戦は中立地開催で行われ、プレミア7位とフューチャー2位による2戦先勝方式で実施される予定だ。新規参入については、2チームほど問い合わせがあったようだ。

2ディビジョン制を採用したのは、公平、競技力、戦力均衡、拡大を意識したからだ。Wリーグプレミア(仮称)は2回戦総当たりのためいずれか一方でのみホームゲーム開催の場合があり、レギュレーションの公平性にこれまでの課題があった。4回戦総当たりになることで、これが解消され、「同一カード2エリア」での開催、つまりは両チームのホームゲーム開催が可能となる。

また「昇降格」が行われることで、勝利の意味合いや1試合あたりの重要度が増す。競技レベルが近いチーム同士が接戦をより多く繰り広げることで競技力は向上していくだろう。実力が拮抗したゲームが増えることで競技本来の魅力が向上し消化試合の減少も見込まれる。さらにこれまで、競技インフラの整備面で新規参入のハードルが高すぎた。下部リーグは経済的負担も減少し、将来的な成長を目指せる場所となる。

■海外リーグとの連携強化へ

さらに、海外リーグとの連携が強化される点については、世界中の目標となるリーグとなるべく、韓国女子バスケットボールリーグWKBL)とのパートナーシップが締結され、サマーキャンプ・オータムカップへの参加や3×3大会・オールスターにおける交流に加えて、『2023 Park’s Cup Summer League』への参戦が新たに発表された。

8月26日~9月3日にかけて韓国清州市で開催される予定の『2023 Park’s Cup Summer League』には、Wリーグから第24回Wリーグ優勝を果たしたENEOSサンフラワーズと準優勝のトヨタ自動車アンテロープス、2チームの参加が決定していて、今後、積極的な交流が図られる。

■参加企業の知見をリーグに還元

「する人・みる人・支える人が一つとなって『日本中に笑顔を届けるリーグ』へ」という柱では、企業チームが混在するリーグの特徴を生かし、参加している企業の知見やリソースをリーグに還元し、地域と共存・共生し、社会にも笑顔を届けることを目的とする。先行事例としてFUJITSUによる「センサリールーム」の設置の事例が紹介された。発達障がい等に伴う「感覚過敏の特性」を持つ家族を対象に、安心してバスケットボールを楽しんでもらうための「センサリールーム」を共同設置したものだ。

■引退後も必要なスキルやマインドを学ぶ場を提供

最後に「社会で輝く人を育み、人生を豊かにする『Well-beingなリーグ』へ」という柱では、競技引退後も続く人生において地域や社会に力強く貢献する女性を育てることを目的に、現役時代から社会との接点を作り、必要とされるスキルやマインドセットを学ぶ場、「Wリーグアカデミー」を今年度も定期的に開催すると発表した。昨年度は下記の講座が行われ、各回100人を超える選手が受講している。

第1回 FEMCATIONセミナー「女性のカラダの知識講座」高尾 美穗氏(産場人科専門医)第2回「今のWリーグ選手に伝えたいこと」三屋裕子氏(日本バスケットボール協会 会長)第3回「アスリートが知っておくべきお金の話」奥村 武博氏(公認会計士・元プロ野球選手)第4回「Wリーガーキャリアの活かし方」大浦 征地氏(パーソルキャリア株式会社 doda編集長)

2ディビジョン制を視野に挑む第25回大会から、熱戦が予想される。戦力の均衡や代表を視野に強化する点に加えて、日本中に笑顔を届けるリーグを目指す。

新会長が考える「W」 撮影:SPREAD編集部

原田会長は「私のWはwww=(笑) いつも笑顔で!」としたためた色紙を披露した。また人間力の向上、地域や企業にとって必要不可欠な人になることを目標に、Wリーグの活動時間を人生の価値、財産と捉えてもらいたいというメッセージが新ステートメントに込められた。

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■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり)●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。

《SPREAD》
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