【日本代表】“新生・森保ジャパン”初陣で見えた課題 ポゼッションサッカーと“戦術三笘”の構築へ求められるキーマン | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【日本代表】“新生・森保ジャパン”初陣で見えた課題 ポゼッションサッカーと“戦術三笘”の構築へ求められるキーマン

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【日本代表】“新生・森保ジャパン”初陣で見えた課題 ポゼッションサッカーと“戦術三笘”の構築へ求められるキーマン
  • 【日本代表】“新生・森保ジャパン”初陣で見えた課題 ポゼッションサッカーと“戦術三笘”の構築へ求められるキーマン

キリンチャレンジカップは24日、日本代表対ウルグアイ代表の試合が行われ、1-1の引き分けに終わった。昨年のカタール・ワールドカップから初の実戦は、W杯をまたいで史上初となる第2期政権・森保一監督率いるチームの、次へ向けたチャレンジの場としても注目が集まった。そんな初陣で見えたチームとしての課題とは…。

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■カタールW杯で浮き彫りになった課題

カタールW杯ではドイツ、スペイン相手に金星を挙げた日本だが、2026年へ向けた課題に上がったのが、トップレベルを相手にした際の戦術の柔軟性。これまではアジアではポゼッション重視で主導権を握りながらも、欧州や南米の強国を相手にするとカウンター一辺倒になり、守勢に回る時間が長かった。

ウルグアイ戦では開始からポゼッションで試合を支配しようとする意図が見て取れた。また、サイドバックで先発した左の伊藤洋輝、右の菅原由勢が攻撃時にはボランチに近い場所に立ち位置を取り、左のワイドの三笘薫、右の堂安律へのパスコースを作るなど、これまでには見られなかったチームとしての新たな形へのチャレンジを垣間見ることはできた。

しかし、試合巧者で球際での強さも備えるウルグアイ相手に後方のビルドアップから前線へ効果的なパスがなかなか入らず、決定機を作るには至らない。逆にウルグアイに徐々に時間を作られると、前半38分にはレアル・マドリードでプレーするフェデリコ・バルデルデに自らのシュートのこぼれ球を押し込まれ、リードを許すこととなった。

■ベルギーでゴールを量産するストライカー

ポゼッションサッカーを構築する上で、カギを握ってくるのがセンターフォワードの人選。ウルグアイ戦ではカタールW杯のドイツ戦でもゴールを決めた浅野拓磨が先発したが、スピードが特徴の浅野は裏への抜け出しや、相手DFに対してのプレッシングなどでより効果を発揮する選手。足元でボールを受け、時間を作るプレーは得意としていない。

その面では、浅野に代わって後半に投入された上田綺世は森保ジャパンが目指す、新たな引き出しを作るうえでは必要な特徴を備える。W杯後に好調を維持し、ベルギーではリーグ4位の14得点と結果を残す上田は、ウルグアイ戦でも身体の強さを活かしたポストワークやゴール前への飛び込みで存在感を示した。

上田が前線でボールをキープできることで、三笘、堂安、鎌田大地、久保建英といった得点力を備える2列目のタレントを活かすことにもつながる。自らゴールを奪うことはもちろん、周りを活かすことにも長けた上田は“新生・森保ジャパン”がポゼッションサッカーという新たな引き出しを高いレベルで構築する上で、必要な存在といえる。

■三笘を活かす伊東純也の存在

また、この試合のひとつの焦点となったのが、[4-2-3-1]の左サイドMFで先発した三笘をどう活用するか。W杯後にブライトンで主力の座をつかみ、決定的な仕事を連発するドリブラーを代表の舞台で輝かせるために、“圧倒的な個”をチーム戦術にどう落とし込んでいくかという課題はこれまでも指摘されてきた。

先発起用された三笘はカウンター時の起点となり、単独突破などで観客を沸かせるシーンは見られたが、ブライトンで見せるようなプレーは鳴りを潜め、孤立する場面も多々あった。クラブでは左SBのペルビス・エストゥピニャンや右SHのソリー・マーチといった理解者の存在があり、ロベルト・デ・ゼルビ監督の戦術も浸透している。周囲のサポートはこれから構築していく必要がある。

その面では、伊東純也の存在は第1期森保政権と同様にカギを握ってくる。ウルグアイ戦では堂安に先発の座を譲った伊東だが、後半16分に投入されると右サイドを活性化させ、後半30分に西村拓真のゴールをアシストした。伊東が右サイドで幅を取ることで、左サイドの三笘へのマークを薄めることにつながる。ブライトンのような、よりいい形で三笘にボールを入れるためのチームとしての“設計図”を作る上で、フランスで躍動するアタッカーは必要不可欠だ。

第2期政権となる森保監督のもと、カタールW杯で果たせなかったベスト8進出へ一歩を踏み出した日本代表。28日にはコロンビアとの一戦を控えるが、2026年に向けてチームとしてどのように引き出しを増やし、世界トップレベルと対等に渡り合える力をつけていくのか。新たな戦力の発掘とともに、戦術のアップデートが求められている。

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文●井本佳孝(SPREAD編集部)

《SPREAD》
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