【カタールW杯】森保ジャパン今大会最大の挑戦となるスペイン戦、日本の「個」とフィジカルに期待! | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【カタールW杯】森保ジャパン今大会最大の挑戦となるスペイン戦、日本の「個」とフィジカルに期待!

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【カタールW杯】森保ジャパン今大会最大の挑戦となるスペイン戦、日本の「個」とフィジカルに期待!
  • 【カタールW杯】森保ジャパン今大会最大の挑戦となるスペイン戦、日本の「個」とフィジカルに期待!

11月20日に開幕したFIFAワールドカップカタール2022もグループステージ(GS)が大詰めを迎えている。

グループE第1節でFIFAランク24位の日本代表は、W杯優勝4度のドイツ代表(11位)に2-1と逆転勝利。その後、第2節ではコスタリカ代表(31位)と対戦し、相手の堅守をこじ開けられずに0-1と惜敗。1勝1敗で迎える最終節では2010年の南アフリカW杯を制覇したスペイン代表(7位)と対戦する。

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■圧倒的なボール支配を誇るスペイン

スペインは2008年と12年の欧州選手権(EURO)を連覇し、10年の南アフリカW杯で初の世界制覇を実現させた「無敵艦隊」だ。

圧倒的なボール支配によって試合の主導権を握る攻撃的なチームで、そのスタイルは全世界へと大きな影響を与えた。その国際大会を3連覇した頃からチームとしての武器は変わっていない。今大会は平均年齢が25.6歳と参加32カ国中3番目に若い陣容となっているように、世代交代の真っ只中だ。

[4-3-3]を採用するチームにあって、W司令塔を組む“ペドリ”・ゴンサレスガビは「10代コンビ」と注目を集めている。11月25日に20歳の誕生日を迎えたペドリは「イニエスタの後継者」と称賛される生粋のプレーメーカーで、ガビは球際で戦えるファイターぶりも備えたテクニシャンだ。それを34歳となった主将のセルヒオ・ブスケツが支える中盤トリオは全員バルセロナ所属であるため、あうんの呼吸で連携も抜群だ。

今大会では初戦でコスタリカを相手に77%というボール支配率を記録。大量7ゴールを挙げ、相手に1本もシュートを許さない完勝だった。第2節ではドイツから先制しながらも1-1の引き分け。連勝こそならなかったが、ボール支配率は61%を記録。ドイツは初戦で日本に敗れながらも59%の支配率を記録したが、スペインを相手に試合の主導権を握ることは難しかった。

■スペインは「組織」、日本は「個人」

昨年、日本はスペインと2度対戦している。東京五輪の直前に行われた強化試合で1-1と引き分け、本大会の準決勝では延長戦の末に0-1で敗れた。「24歳以下+年齢制限のない3選手」の縛りがあったとはいえ、今大会のメンバーに東京五輪を経験した選手が日本には12人、スペインにも7人いるため、見逃せない参考材料となる。

2012年のロンドン五輪初戦では1-0で勝利してもいる。当時のスペインはEURO2012を制した直後で、その優勝メンバーもエントリーされた。日本ではGK権田修一、DF酒井宏樹、吉田麻也、スペインではDFジョルディ・アルバ、MFコケが先発出場、ベンチにはDFセサル・アスピリクエタもいて、カタ―ルW杯メンバーがそれぞれ3人いた。この3試合は1勝1分1敗。内容面には差があるが、日本がスペインに対して強みになる部分は共通していた。

ボールをトラップした時のボールの置き方だ。スペインはトラップとフェイントを同時に行なってマークを外そうとする。リスクをかけるぶん、積極的にバックパスも選択する。欧州の中では体格で劣るために生まれた発想が、育成年代からの指導に浸透している。

一方、日本の選手はトラップしてから腕と背中を使い、マークしてきた相手に身体を預け、ボールは足下に置いて相手から遠い足でキープに入る。意外にもボディバランスが強い選手が多いので倒れないし、倒れるのはスペインの方が多かった。スピードもあるため、相手DFと入れ替わって前に出るのも巧い。スペインは「組織」として、日本は「個人」でボールを失わないようにしている。日本では「一歩目から仕掛けられていない」と批判の対象にもなるが、案外これがスペインと良い意味で違いを生み出す。

■スペイン相手には「個」とフィジカルが強み

今大会のスペインはセンターバック(CB)に本職ボランチのロドリを起用し、更なるボール支配によって弱点である守備の時間自体を減らす工夫を凝らしている。2試合で1失点に止めているのだが、ここに日本が突くべきポイントがある。

日本戦はアンカーのブスケツの疲労と累積警告を考慮して温存される可能性もあるが、そうなるとロドリがアンカーで、CBにはエリック・ガルシアが入るだろう。ロドリにしてもE・ガルシアにしても、対人守備とスピードに致命的な弱点がある。最終ラインからドイツ戦の浅野拓磨の決勝点に繋がったようなボールをもっと狙うべきだ。

守備では前に出過ぎるのは良くない。トラップする段階からフェイントを交えてくるスキルは世界最高レベルの相手だ。狙いは相手DFの前や裏にスペースを作ること。ただ、中盤は[4-3-3]を採用して相手のアンカーへのマークを明確にするなど工夫すれば、フィジカル面で優位に立てる時間もあるだろう。日本には板倉滉と冨安健洋という世界中のクラブが欲しがるCBがおり、ここはスペインのFW陣と対峙しても優位性がある。後方は安定しており、板倉は浅野のゴールをアシストし、冨安は三笘薫の後方支援でも必要不可欠。彼等にはビルドアップ以上の攻撃面での貢献がある。冨安がいなければ最終ラインから組み立てる3バックにメリットはないだけに、彼がどの程度出場できるかが大きな鍵となる。

日本が2大会連続4度目の決勝トーナメント進出を目指す、グループEの第3節・スペイン戦は日本時間12月2日の早朝4時キックオフ。引き分けた場合でも可能性は残るが、日本が目指すのはあくまで勝利。ドイツを倒した日本に可能性はある。

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文●新垣博之(しんがき・ひろゆき)

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