【プロ野球】元ロッテ・里崎智也が語る「佐々木朗希×松川虎生」の若手バッテリーの“課題” | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【プロ野球】元ロッテ・里崎智也が語る「佐々木朗希×松川虎生」の若手バッテリーの“課題”

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【プロ野球】元ロッテ・里崎智也が語る「佐々木朗希×松川虎生」の若手バッテリーの“課題”
  • 【プロ野球】元ロッテ・里崎智也が語る「佐々木朗希×松川虎生」の若手バッテリーの“課題”

プロ野球が開幕して、はや1カ月。セ・リーグは、上位争いに絡むと期待された阪神タイガースが開幕9連敗を喫し、序盤から出遅れる波乱含みの展開。パ・リーグでは、千葉ロッテマリーンズ(以下、ロッテ)の佐々木朗希が28年ぶりの完全試合を達成するなど、世界中でも大きな話題となったのは記憶に新しいところだ。

SPREAD編集部では、かつてボビー・バレンタイン監督指揮の下、2005年にロッテをリーグ優勝と日本一に導いた名捕手、野球評論家・里崎智也さんに話を伺った。最近プロ野球で物議を醸した“あの”騒動から、現役時代のエピソード、捕手論や現在の活動にいたるまで、余すところなくお届けする。

◆【動画】佐々木朗希、28年ぶり完全試合を里崎智也が語る「吉田正尚を完全に抑えた松川の配球」

■次代を担うロッテの後輩たち

まずは、現在も里崎さんがスペシャルアドバイザーとして関わる古巣ロッテについて語っていただいた。何と言っても佐々木朗希松川虎生、これからのプロ野球を背負っていく黄金バッテリーの話を聞かないわけにはいかないだろう。

「佐々木朗希については、(シーズンが)終わってみてどうかですよね。今は感じよくできていますけど、まだ途中なので。ルーキーの松川虎生は、18歳にしては頑張っているんじゃないですか。今後、名捕手と呼ばれるようになるためには“打つか勝つか”これに尽きます。それを達成していかなければ、(そう言えばかつて)いたな、の存在で終わってしまう」。

そんなふたりが、ますますクローズアップされた“あの”一件について。際どいボール判定に不服な態度を示したとして、マウンド上の佐々木朗希に白井一行球審が詰め寄った一連の騒動を、里崎さんはどのように受け止めていたのか。

「佐々木朗希だから話題になっただけでしょう。日常茶飯事ではないですが、大なり小なりこのようなケースはあります。審判も人間ですから癖があるのは当たり前で、捕手もそれに合わせていかないといけないですし。白井球審は、もう少し対応の仕方があっただろうとも思いますけどね」。

里崎さんが、我々の取材後に配信した自身の動画では「あの状況を未然に防いでこそプロの捕手である」と、ルーキー・松川虎生の今後の課題についても語っており、視聴者から多くの反響を呼んでいた。

■刺激を受けた超一流の戦友

現役時代、里崎さんはロッテの日本一のみならず、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では日本の正捕手として、侍ジャパンの世界一にも大きく貢献した。幼少期、プロ野球選手を志すきっかけとなるような、憧れの選手はいたのだろうか。

「憧れていた選手は全くいないです。普段はアニメばかりで野球中継も観ていませんでした。2006年、日米野球代表に選ばれたときに、相手捕手のジョー・マウアー(※この年ア・リーグ首位打者獲得)のユニフォームやバットなどは貰いに行きましたけどね。もう一生会う機会がなさそうですし、そのうち値打ちが出ると思ったからですけど(笑)」。

数多くの国際試合で、他球団の選手と共に戦った里崎さん。捕手から見て素晴らしいと感じた投手については、上原浩治さんの名前を度々挙げている。

「上原浩治さんは、コントロールも変化球も素晴らしく、配球の意図まで汲んでくれる。捕手をしていて初めて「打たれたら俺の責任だな」と思う投手でした。加えて、優れた捕手を挙げるなら、谷繫元信さんですね。その姿勢は見習うべきところがたくさんありました」。

■努力が生み出す、研ぎ澄まされた感性

MLBではお馴染みの、データ解析ツール「スタットキャスト」。そのシステムにも採用されている“弾道計測器”「トラックマン」が近年プロ野球にも導入され、投手の球速やボールの回転数、打球の飛距離やその方向にいたるまで、様々な情報が収集できる時代になった。現役時代の里崎さんは、データに関してどのような意識を持って試合に臨んでいたのだろう。

「いつ聞かれても、各球団、レギュラークラスの打者120人分くらいのデータは頭に入っていましたね。それは基本中の基本。その基本があった上で、最も大切にしていたのが“感性”です。データはあくまで過去、大切なのは今なので。データと感性が食い違った場合は100%感性を信じます」。

長年の経験と、深い知識に裏打ちされたベテラン刑事の直感は信じるに値すると言われている。里崎さんを一流捕手たらしめた鋭い感性は、紛れもなく日々の研鑽の賜物だろう。テクノロジーの進化により、データに依存した戦略が主流になりつつある時代だが、勝敗の決め手は、その道を極めた人間にしかたどり着けない領域にあるのかもしれない。

■野球は観るよりもやるほうが好き

最近では、歯に衣着せぬ発言でYoutuberとしても人気を博している里崎さん。監督業やコーチなど、指導者を切望するファンも少なくないが「(自由にやれている今が楽しいので)あまり興味がない」と意外にも素っ気ない様子。動画配信のための下調べは、解説の仕事とも親和性が高く、プロ野球の“今”を把握するには最適の活動であるとも話し、捕手ならではの冷静で合理的な一面を覗かせていたのが印象的だった。

長いペナントレースは、まだ始まったばかり。今年もまた、数々のドラマが生まれるたびに、その“辛口”で斬り込み、プロ野球界を大いに盛り上げてくれることだろう。日々の熱戦とともに、里崎さんの今後の活躍にも注目だ。

◆【動画】佐々木朗希、28年ぶり完全試合を里崎智也が語る「吉田正尚を完全に抑えた松川の配球」

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文・SPREAD編集部

《SPREAD》
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