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“BIGBOSS”新庄剛志新監督の就任でオフの話題を独占した日本ハムは、10年間指揮をとった栗山英樹監督が退任し、オフには西川遥輝、大田泰示、秋吉亮をノーテンダーで放出するなど、チームは本格的な改革を目指している。2023年開業の新球場に向け、破天荒な新監督のもと、チームはどう変わるのか。
◆日本ハム・伊藤大海、注目すべきは“ゲームメイク能力” 勝敗の裏に潜む好スタッツとは
■“BIG BOSS”の采配はいかに……
【投手力】
★★★☆☆
先発陣は昨季12勝の上沢直之と同10勝の伊藤大海、同チーム最多先発数の左腕・加藤貴之は当確だが、3人に続く名前が出ないのが現状。昨季19試合に先発したバーヘイゲンとは契約延長に至らず、新外国人としてガントとポンセを獲得した。
ガントは昨季カージナルスとツインズで先発21試合、リリーフ18試合に登板して5勝を挙げた右腕で、日本では先発ローテ入りが期待されている。ポンセもパイレーツで15試合の登板中2試合が先発で、チーム事情を見ての起用となりそうだ。既存の選手では池田隆英、河野竜生、金子千尋らが候補になるが、立野和明や吉田輝星など若手のブレイクも欲しい。
リリーフ陣は昨季最優秀中継ぎ賞の堀瑞輝、14年連続50試合登板の宮西尚生、昨季24ホールドのロドリゲスとクローザー2年目となる杉浦稔大が勝利の方程式を形成する。こちらも鈴木健矢や上原健太など、ブレイクを期待される選手がおり、新監督の手腕に期待がかかる。
【打力】
★★☆☆☆
春季キャンプでは新監督のアイディアで打順をクジなどで決める“ガラポン打線”が話題になっているが、公式戦ではどうなるのか。昨季はチーム打率、本塁打、得点がいずれもリーグワーストと、打線の迫力不足は否めない。順当に考えれば中田翔、西川遥輝、大田泰示の抜けた打線でレギュラー当確と言えるのは近藤健介ぐらいで、4番候補が不在となっている。
マイナー通算156本塁打の新外国人のヌニエスや、昨季クリーンアップに定着した野村佑希、復活の兆しが見える台湾の大砲・王柏融などが候補だが、新監督にはそんなセオリーは当てはまらない可能性もある。もう一人の新外国人・アルカンタラは、複数ポジションを守れる中距離打者で、ドラフトでは3位・水野達稀と9位・上川畑大悟の2人の内野手が即戦力候補だ。淺間大基や高濱祐仁、万波中正、清宮幸太郎など、若い力を新監督がいかに覚醒させるかも注目となる。
【機動力】
★★★☆☆
昨季のチーム盗塁数は77でリーグ4位だが、24盗塁の西川が移籍。新監督の注目は2年目の五十幡亮汰で、「足が速い選手を4番にする」
という構想は実現するのか。春季キャンプでは元阪神の赤星憲広氏を臨時コーチに招聘し、走塁の意識改革を行った。五十幡だけでなく、レギュラークラスでは石井一成や浅間、若手選手でも宮田輝星や細川凌平など快速自慢も揃っており、意識改革が成功すれば、盗塁数も大幅アップの可能性がある。
【守備力】
★★★☆☆
昨季のチーム失策数はリーグワーストの76。三塁に定着した野村がリーグワースト2位の16失策で、石井と渡邉諒の二遊間がいずれも7失策と、内野にはやや不安が残る。
外野では浅間が昨季無失策で補殺6を記録しており、的確なポジショニングなども含めて新監督の野球にマッチする。捕手は清水優心が盗塁阻止率.203、石川亮が同.191と心許ないが、赤星臨時コーチの「逆の視点からの指導」が奏功するか。
【采配】
★★★☆☆
就任以来、「優勝なんか一切目指しません」、「レギュラーなんて1人も決まっていません」など、破天荒な言動で話題を一心に集めた“BIG BOSS”新庄剛志新監督。春季キャンプでは、赤星氏以外にも元陸上十種競技選手のタレント・武井壮氏など、野球界以外からも臨時コーチとして招聘するなど、様々なアイディアで球界に新風を吹かせている。
その派手な外見とは裏腹に、指導や練習法などはオーソドックスとの声もあり、「選手全員を一軍のグラウンドに立たせる」という言葉は選手のモチベーションアップにもつながりそうで、あっと驚く結果を残す可能性もありそうだ。
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記事提供:ベースボール・タイムズデータ提供:野球DB