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第103回全国高校野球選手権(8月9日開幕・甲子園)の地方大会が連日行われており、18日の秋田大会ではノースアジア大明桜3年の風間球打(きゅうた)投手が、準々決勝・秋田戦で世代最速となる157キロをマークし、4強進出に貢献した。
沖縄大会では沖縄尚学が決勝で中部商を5-2で下し、甲子園一番乗りを決めた。
■藤川球児氏「高校生の成長スピードは計り知れない」
4回2死走者なしで迎えた秋田高4番・佐藤大誠との対決。明桜のエース右腕、風間はカウント1ボール2ストライクから渾身の直球を投じ、空振り三振に切って取った。そして、次の瞬間、こまちスタジアムに詰めかけた4000人がどよめいた。スコアボードに灯された数字は「157キロ」。高知・森木大智投手、大阪桐蔭・関戸康介投手(ともに3年)が計測した154キロを上回り世代最速となった。
風間は11日の能代戦で自己最速タイとなる153キロを投じており、1週間で4キロの球速アップをやってのけた。野球解説者の藤川球児氏も自身のTwitterを更新し、「秋田の風間球打投手が157km! 高校生の成長スピードは計り知れない」と記し、長足の進歩に驚きを隠せないようだった。
■世代最速の157キロは“みちのくの怪腕伝説”継承者の証
チームは延長10回4-3で勝利し、21日の準決勝へ進出。風間は気温30度を超える中、10回をひとりで投げ抜き、155球7安打3失点自責点2と気迫のピッチングを見せた。この日は今秋のドラフト候補をチェックすべく、プロ球団のスカウトがずらり。風間の投球に高い評価を与えたようだった。
高校時代に157キロを計測した投手は安楽智大(済美)らがおり、大谷翔平(花巻東)は160キロを記録。最速は佐々木朗希(大船渡)の出した163キロとなっている。
ダルビッシュ有(東北)、菊池雄星(花巻東)、大谷のメジャー勢をはじめ、佐藤由規(仙台育英)や吉田輝星(金足農)、佐々木ら好投手を次々と輩出する東北。みちのくの怪腕伝説を継承する風間に今後も注目が集まりそうだ。
■甲子園一番乗りは沖縄尚学
沖縄大会では沖縄尚学が、西武・山川穂高の母校、中部商を5-2で撃破し、全国でトップを切って甲子園切符をつかんだ。
2点をリードされる苦しい展開だったが、4回に前盛魁来(2年)の同点打で追いつくと、5回に仲宗根皐(3年)のタイムリーで逆転。9回にも追加点を挙げ、ノーシードから勝ち上がってきた相手を振り切った。2019年大会以来、2大会連続9度目の出場となるが、2年前の甲子園では1回戦で習志野(千葉)に屈しており、今回リベンジに燃えている。
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文・SPREAD編集部