村田は10月22日、WBA世界ミドル級タイトルマッチで王者アッサン・エンダム(フランス)と対戦。5月に行われた同級王座決定戦ではエンダムに1-2の判定負けを喫していたが、試合直後から判定を疑問視する声が浮上し、今回の対戦はWBAがダイレクトリマッチ(再戦)として指令を出して実現した。
前試合では手数の少なさが判定に響いた村田。今回は序盤から積極的にパンチを繰り出し、エンダムとの距離を詰める。ダウンこそ奪えなかったが、7回を終えた時点でエンダム陣営がギブアップ宣言。村田がついに新チャンピオンの座を手に入れた。
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勝利者インタビューで村田はまず会場に集まった人々に向けて、「今回の試合のTシャツを買ってくれた人がいると思うのですが、(Tシャツに書かれていた言葉は)“MAKE THIS OURS”です。みんなで作った勝利です。ありがとうございます」と頭を下げた。
5月の試合後は予想外の展開となり、それまでのボクシングファン以外からも注目されることになった。メディアの取材も増えたことに村田は怖さも感じたが、再戦に向けてやることは決まっていた。帝拳ジムをはじめ、多くの関係者も継続してサポートしていた。
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両国国技館ではの試合はデビューした2013年12月のプロ2戦目以来だった。デイブ・ピーターソン(米国)を相手に8回TKOで勝利したが、そのときを振り返り「全然良くない試合で、こんな奴はチャンピオンになれないよと見捨てられると思っていました。こうやって、みんながまた来てくれたことに感謝しています」と笑って続ける。
村田はエンダムのことを「友人です」と話した。前回の対戦翌日に自身のFacebookにツーショット写真を掲載してスポーツマンの友情と話題になっていた。今回その友人に勝ったことで、村田はより気を引き締めてプロボクサーの道を歩み続けることになる。
「これは高校の恩師が言っていたことですが、ボクシングの試合で勝つということは相手を踏みにじって、その上に自分が立つということ。勝つ人間には責任が伴うと言っていました。だから彼(エンダム)の分の責任も伴って、これからも戦いたいと思います」
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2012年ロンドン五輪で金メダルを獲得している村田。日本人金メダリストの世界チャンピオンは史上初の快挙だ。ミドル級での王座獲得は1995年の竹原慎二氏以来、ふたり目となる。
ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)など強豪がひしめき合うミドル級。村田は夢のラスベガスへ向けて、WBA世界ミドル級チャンピオンとして新たなスタートラインに立った。