「失敗することもあるがトライし続けてきた」
今夏に加入したばかりのポドルスキ。前半はタイトなマークに苦しみ、連携が不十分なこともあって目立った働きは見せられなかった。だが後半が始まってすぐの4分、エリアの外でボールを持つと迷わず左足を振り抜く。助走もなく振り向きざまに放たれたボールは、しかし地を這うような弾道でゴールマウスにコントロールされていた。
ターンの速さや軸のブレなさ、膝下だけコンパクトに振って威力のあるシュートを放てる身体の強さには、いきなり違いを見せつけられた。チャンスと見れば失敗を恐れず狙っていく思い切りの良さには自分の能力への自信と、積み上げてきた経験が宿っていた。
「自分が良い左足を持っていることは分かっているし、チャンスがあればシュートを狙う。決まるときもあれば外すときもあるが、これまで何度もトライし続けてきた」
試合後は「もっとシュートを打てたと思う」と反省を口にしたが、「今日は得点できたし、左足でさらに多くのゴールを決めていきたい」と今後への抱負も語っている。
ポドルスキのゴールで先制した神戸だが同15分、こちらも新加入のマルセロ・トスカーノにゴールを許し大宮アルディージャに追いつかれる。劣勢だった前半をしのぎきり、後半開始直後に先制点を奪った神戸としては嫌な流れ。ここで再びポドルスキがチームを救った。
大森晃太郎が右サイドから上げたクロスに頭で合わせる。DFふたりと競り合いながらだったがボールをしっかりコントロールしての勝ち越しゴール。
「失点してから反撃することが重要だった。(2点目は)良いクロスだったし、DFの背があまり高くないことが少しアドバンテージなったかもしれない。同点にされたあとすぐに勝ち越し点を決められたことは重要だった」
「サッカーでは勝つことが重要」と話すポドルスキ。この日だけではなく、加入してからチームを意識したコメントが多い。
●ポドルスキが入団会見、目標はACL出場「チームメートと一緒にチャレンジ」
「前半はすごく難しい試合になったが、後半は自分たちが良いプレーができた。僕たちは勝利に値した。チームが勝ったことと自分の2得点を嬉しく思う」
来日から大きな注目を集め活躍を期待されてきた。「ビッグスターとして日本に来たのだから当然プレッシャーはある」と話すが、入団会見で「サッカーにプレッシャーはつきもの」と語ったように、それすら楽しんでいる節がある。
「みんなから注目されているが僕はサッカーを楽しみたいし、自分ひとりでは試合に勝つことはできない。チームメートの力が必要だ」
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チームメートと共に勝利を目指す
(c) Getty Images
「Jリーグのレベルは低くない」
これまで欧州のクラブでキャリアを築いてきたポドルスキにとって、Jリーグは初のアジアクラブ。環境の違いに戸惑うこともあるが今後、コンディションは良くなっていくはずだと語った。
「週を追うごとに状態は必ず良くなっていくので、より動けるようにしていけたらと思う」
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ピッチで放つ圧倒的な存在感
(c) Getty Images
ワールドクラスの点取り屋が加入したことで神戸の上位浮上を期待する声は多い。しかし、百戦錬磨のポドルスキは、それほどサッカーが簡単なスポーツではないことを知っている。そして「Jリーグのレベルは低くない」と語るのだった。
「大宮もサッカーを知っていた。順位が下位だったとしても悪いチームではなかった。僕たちは毎週のトレーニングや試合のなかで改善していかなければならない。チームも自分自身も、より良い状態に仕上げていかなければならない。まだ少し時間は必要だが、改善できれば良いシーズンになるだろう」