【小さな山旅】ロープをギュッとね!…千葉県・伊予ヶ岳(2) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】ロープをギュッとね!…千葉県・伊予ヶ岳(2)

オピニオン コラム
伊予ヶ岳のロープ場2
  • 伊予ヶ岳のロープ場2
  • 伊予ヶ岳のロープ場1
  • 伊予ヶ岳のロープ場3
房総のマッターホルンこと、千葉県南房総市にある伊予ヶ岳。その異名を付けられた理由を「体感」できるのが、東屋から南峰まで続く連続ロープ場である。

東屋から見える階段を上り終えるとすぐに、ロープ場が始まる。上方から垂れ下がるロープを「ギュッ」と握りしめ、体全体を使って慎重に登っていくのだが、これがなかなかおもしろい。たかだか標高336mの低山とは思えない、エキサイティングな体験が味わえる。

しかも、このロープ場は南峰まで続くから、10分ちょっとの間は低山での高山感が楽しめる。なるほど、マッターホルンな感じがする。

このようなロープ場や鎖場の登りは案外怖くはない。登っている際の視線は基本的に下を向くことはなく(足をかける場所を確認する時くらい)、高さによる恐怖を感じることが少ないからだと思う。怖いどころか、ロープや岩を掴んで、身体全体で登ることに、ロッククライマーになったような恍惚感を覚えるほどである。

だが、「行きはよいよい、帰りは怖い」。

下りの時が、殊の外怖い、怖すぎる。たかだか標高336mの低山とは思えない、スリリングな体験が味わえる。ロープや岩を掴んで、岩を体の正面に向け下りていると、なおのこと怖い。目に見える高さは、それほど高くはないのだけれど、実際に下りようとすると、思いのほか高さを感じてしまう。

伊予ヶ岳のロープ場

これは人によりけりだろうが、臆病者の筆者は、何回登ってもこのような下りのロープ場は怖くてたまらない。結果、へっぴり腰でおっかなびっくりに下りることになり、みっともない姿を周囲の人にさらすことになる。山の中だから人が少なくて良いが、これが街中であったら……と考えただけで赤面してしまう。

「怖っ! 怖っ!」と言いながら、ロープをギュッと握りしめて岩場を下りていると、プロレスラーがピンチの時にロープを掴んでレフリーに助けを求める気持ちが、痛いほどわかった。
《久米成佳》

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