とある飲み会で、インドで仲良くなったオジサンに「蚊除けのため」と連れて行かれたマッサージ屋。パンツまで脱がされ全裸にされたのち、マッサージ師として現れたのはガチムチのお兄さん。全力で謎の液体を思いっきり全身に塗り込まれた話で盛り上がっていたある日のこと。

「俺はリッチに旅行したいんだよね~。なるべく安く、10万円くらいで豪華な経験できるところないかな?」
こう友人から尋ねられました。なかなか難易度高い。アジアや中南米などの安宿巡りはちょこちょこしてきましたが、豪華な体験となると完全に門外漢。
そもそも豪華な体験ってなんだろう。乏しい発想力では、「豪華な体験=豪華客船」という連想しか生まれてきません。
豪華客船。確かに間違いなく豪華な体験でしょう。でも、10万円やそこらで豪華客船に乗れるわけがない。何百万円もするブランドのドレスやタキシードを着て、フカヒレの上にフォアグラやキャビアを乗せてシャンパンを嗜む上流階級の人々の遊び場に違いない…。
とはいえ、「そんなのはない」と即答するのも味がありません。駄目元でちょこっと調べてみました。
…いけるやん。

「スーパースター ヴァーゴ」。アジアを中心に運航するクルーズ船。東京ドームの約1.5倍の広さを誇る13階建に935室を備え、1870名もの乗客を収容可能。
今年の7月から11月の半年間、大阪、横浜の2ヶ所を拠点に清水や鹿児島、上海までの船旅を行う予定なのだとか。
この「スーパースター ヴァーゴ」の一番安い部屋が1週間で12万8000円~。乗船日から61日前の申し込みで、旅行代金が2万円引きというから、その場合10万8000円。1日1万5500円くらいか…。
しかも、指定レストランでの食事代金や、船内のエンターテイメントショー、プール、ジャクジー、図書館などの施設利用代金も含まれての値段だそう。
え、意外と客船って安いの??
百聞は一見に如かず。「まず行ってみるしかない」ということで、「スーパースター ヴァーゴ」に乗り込んできました!



「スーパースター ヴァーゴ」を運営しているスタークルーズ日本代表の山本有助氏は、「スーパースター ヴァーゴ」について「中華料理ならフカヒレではなく酢豚。もしくは焼きそばのような存在。ベンツではなく日産ノート。『豪華客船』というキーワードを忘れて、『気軽に乗れるけど結構いいね』と思ってほしい」と客船に乗る前に語ってくれました。
ふむふむ、「コスパがいい」という感覚なのかな?
「気軽に」という言葉に気を取られ、正直、少し舐めていました。船内に入った途端、ハッキリ言って驚愕し、素っ頓狂な声をあげました。アッチョンプリケ。
スーパースターヴァーゴ グランドピアッツァ #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
まるで高級ホテルのような外観。両足を上げ、今にも走り出しそうな三匹の金色の馬。側にそびえるギリシャ風彫刻が高級感をより一層引き出しています。
「金ピカだ!しゅごい!」
ひとしきり鬼のように写真を撮ったあと、部屋の下見に出発です。
部屋にも幾つかのバリエーションがあります。
最も安く宿泊できる部屋が、こちらの「インサイドステートルーム」。部屋によっては4つのベッドを用意することが可能で、学生の旅行にも人気なのだとか。代金は12万8000円~。(7泊8日)

スーパースターヴァーゴ インサイドステートルーム #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
スタークルーズでは3人目と4人目の代金は半額になるので、4人で宿泊したとしたら、一週間で合計金額は38万4000円。乗船日から61日前までに申し込めば2万円引きなので、その場合は32万4000円。
一人辺り8万1000円で食事付き、施設遊び放題って、すごくお得じゃありませんか?
普通に友達と旅行で来たい。
まだ日本人の学生同士でスタークルーズの客船を利用する人は多くないようなので、学生の方は是非検討してみてください。
こちらは窓付きの部屋となる「オーシャンビューステートルーム」。代金は15万8000円~。(7泊8日)

スーパースターヴァーゴ オーシャンビューステートルーム #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
バルコニー付き「オーシャンビューステートルーム」は19万8000円~。(7泊8日)

スーパースターヴァーゴ オーシャンビューステートルーム(バルコニー付き) #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
こちらは最も高級な部屋、「エグゼクティブスイート」。ジャグジー付にシャワーブース、リビングにダイニングコーナーなどが付いている、贅沢な空間。代金は31万8000円~。(7泊8日)


スーパースターヴァーゴ エグゼクティブスイート #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
無料で遊べるプール、ジャクジー、ウォータースライダーも気持ちいい。バスケットコートや1周200メートルのジョギングコース、最先端の器具が導入されたジムもあります。あまり盛り上がっていないようにも感じましたが、カジノも併設されています。
スーパースターヴァーゴ プール #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA



せっかくなのでちょっと遊んでみました。

海に囲まれた場所なのに、プールで泳げるという不思議な感覚がたまりません。

なんといっても目玉はウォータースライダー。ただ、スピードを出したい人は水着の質にこだわること!
ふんどしのようなスタイルでウォータースライダーに臨んでいたお兄さんはそのまま海に投げ出されるんじゃないかというレベルのスピードで滑り落ちていきました。
しかし、面積の広い、半ズボンタイプの水着で意気込んでウォータースライダーに臨んだ僕はカタツムリと同等の速度を誇りながら、多くの人の哀れみと嘲笑の視線を受けながらぬめり落ちていくことになってしまいました。くぅ~、悔しい。


次の目的地までの時間を、こういった施設で遊びながら過ごすことができるのは、船旅ならでは。
普段から運動習慣があり、運動を少しでもしないと気持ちが悪いという人も、この船の上なら様々な形で体を動かすことができるので、おすすめです。




何と言っても驚いたのが、食事のバリエーション。洋食や中華料理、日本食に加え、アジアンフードの充実度がすごい。うちクルーズ代金に含まれているレストランは3ヶ所で、このレストランに行けば一日6食まで無料で楽しめます。
有料レストランのクオリティも非常に高い。値段も比較的手頃です。スタークルーズ広報スタッフによると、3泊以上宿泊する人は、滞在中に1回は有料レストランで食事する割合が高いそう。
ここからしばらく飯テロが始まるので、要注意。怒らないでください。
■「パビリオン」(無料/中華料理)
昼夜はセットメニューで朝はビュッフェスタイル。お粥に加え、飲茶などが日替わりで4品テーブルに運ばれてくる。
■ブルーラグーン(有料/東南アジア料理)
24時間営業のアジアンフード屋さん。屋台スタイルが好きな人には嬉しい。チキンライスは絶品。(70香港ドル、日本円で1000円程度)


■メディテラニアンビュッフェ(無料/インターナショナルビュッフェ)
ビュッフェ形式。目の前でシェフがオムレツを作ってくれる。
■サムライ(有料/日本食)
素材の美味しさをそのまま味わえる鉄板焼き。(348香港ドル~)シェフが目の前でパフォーマンスをしてくれます。3年以上もパフォーマンスの追求に力を入れてきたのだとか。エビの天ぷらと鰻の蒲焼き一尾を丸ごと使うドラゴンロールが名物。(138香港ドル~)


■タージ(有料/インド料理)
ビュッフェ形式。インド人シェフが本格的なカレーを作ってくれる。
■パラッツォ(有料/イタリアン料理)
内装が凝られており、高級な雰囲気。オシャレをして来たい。エビのスープは絶品で、エビをそのまま飲んでいるかのよう。
■ノーブルハウス(有料/中華料理)
ここのナマコは一度食べてみる価値あり。
■ゲンティンパレス(無料/インターナショナルダイニング)
週に一度船長主催のパーティーが行われる。そのタイミングには是非。




■タベルナ(有料/ハンバーガーなど)
タベルナの特大ハンバーガーもジューシーで、是非一度は食べて欲しい。
■キャプテン主催のガラディナー
基本的にドレスコードが存在せず、普段着で自由気ままに船旅を楽しむことができるのがスタークルーズですが、船長が主催するパーティーにはちょっとしたカジュアルスタイルが求められます。
■ショー
船内劇場「リド」で毎晩開催されるショーのレベルは、本当に高いです。僕が訪れたのはショー「メモリーレーン」。






煌びやかな衣装で華麗なダンスを踊る人々もいれば、とぼけた顔の二人組が凄まじい筋肉技を披露したり。軟体動物のような動きで会場を魅了した女性二人組も。
「本当に素晴らしかった。正直期待していなかったが、あんなパフォーマンスをこの船で見られるなんて思ってもみなかった」と香港から来た男性は教えてくれました。
本当に素晴らしくて、我を忘れて何度もハイタッチを求めてしまいました。観客の皆さんも大盛り上がりでした。
本当に至れり尽くせりの船旅。
客船の旅というと「自分には関係のない世界の話」と感じがちですが、船とプランによっては「普通の人でも気軽に参加できる旅でもある」ということが知れてよかったです。僕、マジでもう一度乗りたいと思っていて、現在日程調整中です。4人で行けば一人当たり8万1000円で一週間、食べ放題、遊び放題ですから。
記事の冒頭にも述べましたが、今年の7月~11月には日本(大阪・横浜)にも上陸予定です。毎回よしもとクリエイティブエージェンシーの芸人さんが乗船し、お笑いライブなどを開催するということです。
船内スタッフの美人女性(インドネシア出身)は、「日本に行けることが楽しみ。日本人のみなさんにもこの船を楽しんでほしい」と話してくれました。
「テリマカシー(インドネシア語でありがとう)」「サマサマー(インドネシア語でどういたしまして)」を言うとすごく喜んでくれるので、是非乗船される方は覚えていってください。

「スーパースター ヴァーゴ」ホームページ