開催迫るボルダリングW杯八王子大会…日本代表キャプテン・杉本怜に見どころを聞く | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

開催迫るボルダリングW杯八王子大会…日本代表キャプテン・杉本怜に見どころを聞く

スポーツ まとめ
二子玉川のクライミングジム『フィッシュアンドバード』の壁を登るボルダリング日本代表の杉本怜(2017年4月26日)
  • 二子玉川のクライミングジム『フィッシュアンドバード』の壁を登るボルダリング日本代表の杉本怜(2017年4月26日)
  • 二子玉川のクライミングジム『フィッシュアンドバード』の壁を登るボルダリング日本代表の杉本怜(2017年4月26日)
  • 二子玉川のクライミングジム『フィッシュアンドバード』の壁を登るボルダリング日本代表の小武芽生(2017年4月26日)
ゴールデンウィーク終盤の5月6日・7日に、東京都内では初となるボルダリングワールドカップ(W杯)がエスフォルタアリーナ八王子(八王子総合体育館)で開催されます。

国際スポーツクライミング連盟(IFSC)がシリーズ戦として行なっているW杯。ボルダリング日本代表チームは今季、開幕戦スイス・マイリンゲン大会で男子の藤井快(こころ)選手が自身初となるW杯優勝を決め、幸先の良いスタートを切っています。

4月29日・30日の第3戦中国・南京大会でも渡部桂太選手が魅せ、やはり初めてのW杯制覇を成し遂げました。女子も第2戦中国・重慶大会で野口啓代(あきよ)選手が2位、野中生萌(みほう)選手がマイリンゲン大会と南京大会で3位表彰台を獲得しています。

日本はボルダリング大国として世界のクライマーたちに知られています。男子に昨年の世界選手権パリ大会を制し、初のW杯年間総合優勝にも輝いた楢崎智亜(ともあ)選手、女子に過去4度W杯年間総合優勝を達成した野口選手がいます。男女ともに実力ある選手に恵まれ、先週の南京大会では決勝に残った12名のうち半分の6名が日本人選手(男女各3名)でした。

スポーツクライミングは「ボルダリング」「リード」「スピード」の3種目の複合競技として、2020年東京五輪で正式に採用されることになりました。ボルダリングは4mほどの壁を使い、登れた課題の数を競います。リードは12m以上の壁を命綱で安全確保しながら登り、登った高さで順位を決めます。スピードは2名同時にスタートして、垂直の壁を登る速さを争います。どの種目も手足をフルに活用してトップ(ゴール)を目指します。

■ボルダリングW杯の見どころは?

八王子大会で初めてボルダリング大会の観戦に行く人もいると思います。ボルダリング日本代表チームでキャプテンを務める杉本怜(れい)選手に、どこに注目したらいいのか聞いてみました。

ボルダリングW杯スイス・マイリンゲン大会で4位になった杉本怜選手。

「ジャンプして飛んだり、垂直の壁でこんな動きができるんだっていうのを想像してもらうといいです。持ちづらそうなところを選手が持って、腕だけで登ったり、色んな動きがあります」

そう教えてくれた杉本選手。たしかにW杯に出場するような選手たちは、一般レベルでは考えられないような驚異的な動きをしますね。私が初めてトップクライマーのボルダリングを観たのは昨年の『Rock Queens』でしたが、優勝した野中選手のパフォーマンスには、ただただ感心しました。


杉本選手は選手個々の動きにも着目してほしいと続けます。

「選手によって登り方が違うことがあるんです。あの選手は左手からホールド(突起物)を取りに行ったけど、別の選手は右から行ったり、足を先行させたりとか。選手によって選択するムーブ(動き)が変わってきます。この選手はこうだったけど、別の選手はこういう動きをしてあの課題ができたなど、選手の比較をしても面白いです」

競技そのものについては、「まだルールもあまり浸透していなくて、何を競っているのか疑問に思うのかもしれませんが、基本的には『登れるか、登れないか』の勝負。スタートからゴールまで登り切った(課題の)本数で順位を決めます。そこを注目していけば順位もわかりやすいですね」とのこと。

東京・二子玉川のクライミングジム『フィッシュアンドバード』の壁を登る杉本怜選手。

昨年春に左肩の手術をした杉本選手。W杯から一時的に離脱していましたが、今季初戦のマイリンゲン大会で復帰。同大会で4位、南京大会で6位と表彰台こそ届きませんでしたが、復帰後早くも決勝で戦っています。

W杯は2013年8月のミュンヘン大会で優勝経験があり、八王子大会に向けて「1年しっかりリハビリしてきました。日本で活躍して『強い杉本怜が帰ってきたぞ!』と見せることができたら嬉しいですね」と意気込みを見せてくれました。

また、東京五輪については、「僕は(ケガで)出遅れちゃった部分があります。まずはボルダリングを重点的にやって力をつけて過去最高レベルまで持っていく。リードとスピードはその次にやっていかないと、どれもダメになってしまうと思います」と冷静に見据えています。

スピードに関しては海外勢から遅れをとっている日本代表チーム。4月に東京・昭島に専用の壁がオープンしたこともあり、今後の強化に期待したいところです。

■W杯八王子大会には日本人選手40名が参加

八王子大会にはボルダリング日本代表選手(男子12名、女子9名)のほかに、開催国特別枠として男子10名、女子11名の日本人選手が参加します。合計40名の日本人クライマーに期待が集まります。

そのひとりでボルダリング日本代表としてW杯を転戦する19歳の小武芽生(めい)選手は、「私は予選が得意。去年のW杯から予選落ちは1回もしていないのですが、準決勝で崩してしまうパターンが多い。ちょっと日本ではそんなところは見せられないな(笑)」と母国開催に嬉しさを見せながら、緊張も隠せません。

しかし南京大会では自身2度目となる決勝進出を果たし、6位で帰国したばかり。その勢いを八王子でも見せてほしいですね!

ボルダリングW杯南京大会で決勝に残った女子日本代表3名。右から小武芽生選手、野中生萌選手、尾上彩選手。

なお、八王子大会の7日準決勝・決勝の前売りチケットはすでに完売になっています(当日券の予定はなし)。東京五輪に向けて、ボルダリング人気はますます高まっていきそうですね。
《五味渕秀行》

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