これまでに 「40-40」(40本塁打&40盗塁)をクリアした選手はいないが、規格外のパワーとスピードを兼ね備えた柳田には、前人未到の快挙達成の期待がかかっている。
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柳田悠岐 参考画像(c)Getty Images
「40-40」の壁は、とてつもなく高い
過去にも「40-40」を期待された選手は存在した。その筆頭が、西武ライオンズの黄金期を3番打者として支え続けた秋山幸二氏だろう。元ソフトバンクの指揮官である秋山氏は、柳田にとっては恩師でもある。秋山氏は、西武ライオンズ在籍時代の1987年に43本塁打、38盗塁という驚異的な数字を残している。その後も、毎年のように記録達成が期待されたが結局「40-40」には手が届かなかった。
日本のプロ野球史上では誰も達成していないが、メジャーリーグに目を向けると、過去にホゼ・カンセコ(1988年)、バリー・ボンズ(1996年)、アレックス・ロドリゲス(1998年)、アルフォンソ・ソリアーノ(2006年)の4選手が達成している。しかし、逆に考えれば、長い歴史を誇るメジャーリーグですら、たった4人しか達成していないのである。
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柳田悠岐 参考画像(c)Getty Images
バケモノが認めるバケモノ
ここで言う前者のバケモノとは、オリックスの糸井嘉男外野手を指す。超人的な身体能力を活かして走攻守で規格外のパフォーマンスを見せ、多くの現役選手からリスペクトされる糸井。そんな糸井は、柳田がブレイクする以前に共に自主トレーニングを敢行しており、その際に柳田のことを「たぶん、日本人で一番飛ばすバケモノ。僕の2段階くらい上のパワーがある」と評している。
柳田の規格外のパワーは入団当時から注目されており、巨人の井端弘和1軍内野守備走塁コーチ にいたっては、現役時代に2軍で調整中に柳田のバッティングを見た際、「ものすごいパワーのある選手がいた。あれはすごかった」と、当時無名だった柳田の印象がいかに強烈だったかを語っている。ちなみに、柳田は50m走は5秒55、遠投125m、広島六大学野球リーグ時代の通算打率は.428。ブンブン振り回すイメージがありながらも驚異的な高打率。入団当時から、そのスピードとパワーは規格外だった。188cm、93kgと体格にも恵まれている。
開幕早々、大ブレイク後の試練か
昨年オフに受けた手術の影響から開幕が不安視される声もあったが、柳田は開幕戦から出場を続けている。しかし、大ブレイク後の試練とも言うべきか、11試合で3勝6敗2分けのリーグ5位(4月8日時点)と波に乗り切れないチーム同様、柳田は打率.194、1本塁打、2打点、2盗塁(4月8日時点)と苦しんでいる印象だ。
一方で四球は17個という驚異的な数字。これは柳田の選球眼の良さもあるが、柳田に対する相手チームからの警戒が強いことを示している。そして、四球の数も影響し、低打率でありながら出塁率は.458。およそ2打席に1回は出塁しているのである。
しかし、「40-40」の達成という観点でみると、まともに勝負してもらえないのであれば40本塁打のハードルが高くなる。必然的に数少ない甘い球を一撃で仕留めることが求められる。今後さらなる大打者への階段を昇って行く上で、避けては通れない課題だ。
4月1日に「40-40」を兼ねた登録名を発表!?
ソフトバンクは、4月1日に「柳田悠岐選手 登録名変更のお知らせ」とSNSなどで大々的に告知。「登録名を4月1日より「ギータ40-40」(読みは「ギータ」または、「ギータ フォーティ・フォーティ」)に変更しますのでお知らせします。ユニフォームの背ネームは「GITA.40-40」となります。なお、NPBにおいて数字が登録名として使用されるのは初めての事例となります」と発表した。文末にエイプリルフールのジョークであることを示す文言があったわけだが、球団も柳田の「40-40」達成を大いに期待している。
柳田は2014年オフに「トリプルスリー公約Tシャツ」を制作し、2015年には公約通り、トリプルスリーを達成したという縁起のいい前例がある。今回のケースは公約というわけではないが、前人未到の「40-40」をぜひ達成してもらいたい。