マウンテンスポーツを楽しむための道具を69年にわたって開発してきたサロモンが2月5日に初めてランニングシューズ「ソニックプロ」を発売した。これまでトレイルランニングという世界でつちかってきた技術を舗装路用シューズに応用させた製品だ。身近なロードランニングをアドベンチャーに変えるというのがコンセプト。どういったものかを実際に体験しに行った。
■神田神保町で舗装路ラン
サロモン直営店舗のある東京・神田神保町で、翌日に発売されるソニックプロをはいてスタート。チームサロモンに所属する反中祐介さんが道案内役を務めてくれた。「ゆっくりと8kmほど走りましょう」という言葉を聞いて、ボクはいきなりブルーに…。
なぜなら舗装路でそれだけの距離を走るのなんて、昨年春にハーフマラソンを走って以来のことだからだ。
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舗装路でランニングするのは忍耐力がいる。ランニング大会にエントリーして目標設定してみても、地道にトレーニングするのはホントにツラい。わずか数分で歩きたくなってしまうのだ。だからボクはときどき歩いてもいい運動になるトレイルのほうにシフトして健康維持を図っている。山道なら単調ではないし、クルマなどの往来から解放されて気分転換になる。
反中さんのあとに続いて隣の人と会話できるくらいのペースでゆっくりと走り始める。湯島聖堂の角を曲がって神田明神へ。人通りが多いときは歩行者と同じペースにする。神田川沿いの遊歩道では遊具やオブジェを縫うようにスラローム走行。ときどき出現する階段もいい感じで上り下りする。
体も温まってきたと同時に、シティトレイルの意味がちょっと分かってきた。都心部を山に見たてて走っているのだ。さすが山から下りてきたランニングブランドだ。
■主役はシューズではなくて人間
今まで気づかなかった身近な町の魅力も発見できる。小石川後楽園の外周を走り、ところどころの公園でちょっと休む。トイレや水道もあるので安心だ。東京ドームの脇を抜けて、水道橋にある横断歩道橋をあえて渡り、猿楽町にある女坂と男坂の階段を上り下りする。
最後は山の上ホテルの坂道をこなしてスタートした地点へ。距離は7kmちょっとだったが、単調な舗装路ランとは違って楽しめた。「結構負荷があったので7kmよりもいい練習ができたはずですよ」と反中さん。
「主役はシューズではなくて人間。ランニングはゴールしたときしか楽しくないという人が多いですが、山を走るときのようにその最中も楽しめたらいいじゃないですか」
街中ランというスタイルを提案して、もっと楽しくゲーム感覚で。タイムや距離にとらわれず、自分なりに楽しむ舗装路ラン。意外なほど楽しかったのである。