2015年のツール・ド・フランスで初採用されたのが、主催者がこれからの大舞台として打ち出したラセドモンベルニエ(Lacets de Montvernier)だ。
「lacet」は英語の「lace」、つまりシューレースのことで、クツヒモのようにジグザグな道というニュアンスだ。中世の貴婦人が愛用していたコルセットを締め上げるヒモもこう呼ばれる。
センターラインが存在しない狭くて急しゅんな林道で、スイッチバックのコーナーは18。よくこんなところに道を作ったなあと驚くばかり。大会当日は観客が一切排除され、カメラマンなど一部の関係者だけが徒歩で上ることを許された。標高は782mだが、平均勾配値8.2%の坂が3.4km続く。
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ラセドモンベルニエ(アルプス)
■アルプスの中でも美しいグランドン峠(アルプス)
標高1924mのグランドン峠(Col du Glandon)は、「鉄の十字架」という意味を持つクロワドフェール峠(Col de la Croix de Fer=標高2067m)へのアプローチに位置するため、2015年ツール・ド・フランスの高低表などにその名前が登場しないが、実際には3回通過している。
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グランドン峠(アルプス)
最終日前日は、当初予定されたコース上にあるシャンボントンネルが崩落によって通行止めとなり、ガリビエ峠を通過するコースが使えなくなったことで、スタート地点からこのグランドン峠を越えてラルプデュエズに向かった。
山麓部の牧歌的な風景から一変して、峠の頂上は荒々しい景観が見渡す限り広がる。一度は走ってみたい峠である。(続く)