【Next Stars】相手が100%出せない状況に…戦略突き詰め頂点へ 総合格闘家 佐々木憂流迦 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Next Stars】相手が100%出せない状況に…戦略突き詰め頂点へ 総合格闘家 佐々木憂流迦

オピニオン ボイス
佐々木憂流迦選手(c)Getty Images
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  • 佐々木憂流迦選手
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2014年、アメリカの総合格闘技団体UFCにデビューした佐々木憂流迦選手は、8月の初戦でローランド・デローム選手と対戦し、1ラウンド一本勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞し、鮮烈なデビューを果たした。

2014年12月の試合では惜しくも敗戦を喫してしまったがこの世界で頂点を目指す。

国内での連勝を手土産にUFCへ参戦を果たした佐々木選手、見た目は格闘家とは思えないスタイルの良さで、その戦い方は本人曰く「ずる賢い」戦略を持つという。海外での試合を経験するなかで、戦いに勝つことで国境や人種を超えて称賛されることに魅力を感じつつある。格闘技の魅力について話を聞いた。

■なんでもアリのUFCで頂点を目指す

---:今、活動している場所と、目指しているタイトルを聞かせてもらえますか?

佐々木選手(以下敬称略):今、UFC(Ultimate Fighting Championship)っていう総合格闘技団体と契約できて、そこのチャンピオン目指しています。まず、一番身近な目標としてはランキング入りですね、UFCはアメリカの団体ではありますが、全世界で一番の総合格闘技の団体なので、そのランキングに入れば、世界で何番目というのが明確になります。

---:UFCでの戦いについて教えてもらえますか? 

佐々木:何でもありなんです。金網、六角形のオクタゴンの中に閉じ込められて、中に入るのは、レフェリーと相手と僕だけ。あとは何でもありで、5分3ラウンド制で戦って、相手を気絶させてKOしたり、もしくは「参った!」をさせて決着させるか、もしくは判定で決着がつきます。

---:ご自身は、どんなステップでUFCにデビューすることができたのでしょうか。

佐々木:僕は結構、すんなり入れたパターンですね。UFCに参加する前の戦績が20戦やって17勝1敗の2分けなんです。2011年に1敗してから、もうずっと負けてなくて、連勝してたんです。そうしたらUFCのほうから声を掛けられて、契約しました。

---:国内では、どれくらいのポジションにいたんですか?

佐々木:僕は、もともと「修斗」という国内の総合格闘技団体に出場していて、修斗の環太平洋のチャンピオンになったんです。環太平洋のタイトルを取って戦っていたら、UFCから声がかかってきたんで、次は世界チャンピオンかなと思っています。





■夢見た場所にたどり着くために

---:格闘技の世界にデビューした時の感想は、想像通りだった?

佐々木:僕が格闘技にデビューするころには、PRIDEとか大きな格闘技イベントが無くなって、格闘技は日本の中では低迷し始めたころだったんで、観客の多さだったりだとか、肌の感覚だとか、想像と違っていましたね。

でも、やっぱりデビューして中身を知るっていうのは、なかなか感じ方が変わってくるもんで、そんな状況でも「ちゃんと夢は見れるな!」と思ってずっと戦ってきましたし、今でも、自分がその時に考えていた夢見た場所にはたどり着けるんじゃないかなと思っています。

---:UFCでは、キャラクターが立ってるとか、圧倒的に強いなどという特殊性がないと生き残れない世界と聞きました。

佐々木:そうですね。もう強くないと駄目で、そこが大前提です。強くあってこそのキャラクターだと思うんで、キャラが立ってるだけだと、すぐリストラされちゃいますよ。

---:自分では、どういうところを認められて声が掛ったと思いますか。

佐々木:多分、戦績です。もう完全に今まで積んできたキャリアです。僕のキャラとかあんまり関係なかったと思います。

---:試合では、どんなスタイルで戦っている?

佐々木:僕の名前、憂流迦っていうんですけど。この「憂流迦」というのが、インドのサンスクリット語で「天狗」って意味なんです。あの赤い鼻が長い天狗です。なので、入場のときは天狗のお面して、番傘をさして、着物着て入場していくんです。それはもう昔からで、デビューからずっと貫いてやってるんですけど。

---:そういうパフォーマンスにもこだわりがある?

佐々木:そうですね、はい。天狗のお面付けて出ていくような。対戦相手のほうは、「あ、そうなの?」みたいな感じですが(笑)。

僕は、やっぱりプロレスが好きだったんで、どうしてもそこら辺の見せ方とかにも、プロフェッショナルなあり方があると思っているんです。競技者の視点でいうと、アマチュアとプロがごっちゃになっていて、「競技に勝てばいいや」という選手も多いのですが、やっぱりプロ興行は、お金を払ってみんな見に来てるんで、その辺りは意識しないといけないなと感じています。

---:お客さんを楽しませることは常に考えている?

佐々木:そうですね。常々考えないと駄目です。





■「この野郎!」と向かってくる相手と同じ土俵で勝負しない

---:格闘技を続ける中で怪我とかされたことは?

佐々木:大きい怪我はしたことはないです。多分俺、怪我しないんでしょうね、なぜか。体が強いわけじゃないんですけど。多分、スタイル的な問題で。

---:その戦い方に、何か秘訣がありそうな気がします。

佐々木:戦い方はそうですね、ずる賢いですね(笑)。僕は相手の強いとこで勝負しないんです。競技者って「この野郎!」っていう気持ちを持って向かってくるから、相手と張り合おうとするんです。

相手と同じ土俵で戦おうとすると面倒なことになるんで、僕はそういう戦いになったら、すぐ違うところにいってしまうんです。違うところに行って相手がまた「この野郎!」って向かってきたら、また違うところから攻める。そうしていると、勝てるんですよ。

■相手が100%出せない状況に持ち込む

---:相撲でのいうところの「肩透かし」に近い?ちょっと違う?

佐々木:そうですね。もうちょっと分かりやすくいうと、自分の力が100パーセント出る状況の中で、相手はまだその100パーセントのベースを作れる状態じゃないところに持ち込めればいいんです。ちょっと油断してるときっていうんですか、そういうとこばかり狙ってやっています。

僕に力が無くても強い相手に勝てるというのは、どんなに力が強いやつであっても、相手の力が100%出ない状態であれば、僕の100%の力で勝てるんです。それで、ひょいひょいって(笑)。

---:感覚で戦っている、それとも計算ですか?

佐々木:計算もそうですけど、やっぱりフィーリングが近いと思います。相手のどこを意識してるかのフィーリングが、すごいつかむのがうまいと思いますね。やっぱり、ずる賢いです(笑)。

---:そういった戦い方を編み出したのは、いつ頃から?

佐々木:僕は昔から、自分を客観的に見れるんです。高校時代にレスリングをやってたんですけど、その時からそう思っていましたね。自分の体形とか見ても明らかに線が細いし力の強い選手じゃないので、重心が低くて戦車みたいなやつのパワーには絶対何しても勝ちようがないですから。

それだったら、スピードとあとは戦略しかないです。自分の中で、そういうところを一番に突き詰めて戦ってきたところです。ですから、今まで負けとか怪我が少ないというのは、そういうところからくると思っています。

■パワーと持久力が課題

---:これまでに負けた試合というのは、どういう感じで負けたんですか?

佐々木:負けた試合は、外人選手のガイ・デルモとの対戦で、1ラウンド目は、いい感じで試合を運んでいたんですけど、2ラウンド目からパワー負けしちゃったんです。その時は、1階級上で戦ってたんですが、2ラウンド目からパワー負けしちゃいました。

---:なるほど。今後は、パワーと持久力が課題になってくる?

佐々木:はい。今、それがやっぱり僕の中でずっと課題なんです。その体の強さやパワーというのをすごく求めているところで、トレーナーさんを付けてトレーニングをしている最中です。

これが、あと3試合とか4試合後には、効果が出るような感じなので、体の強さや持久力の面、キャリアを重ねるごとにトレーニングの負担は増やしていきます。

---:UFCデビュー後、ファンの反響はありました?

佐々木:UFCの試合に出てみて思ったんですが、やっぱり海外の反応ってすごいですね。TwitterとかFacebookに、反響がバンバンきて、英語で言ってくるので、僕は全く分かんないですが…(笑)。Facebookの友達申請もめちゃくちゃ来たんですが、外人だからよく分からないという(笑)。

だから、やっぱりあれですね。そうやって国境を超えて感動を共有できるというのは、総合格闘技を含めたスポーツの特権だと思います。国とか宗教とか全部超えて称賛されるじゃないですか、それって本当にすごいと思ってます。

---:ラブ&ピースというか「音楽に国境はない」というのと同じ感覚。

佐々木:はい。そうですね。それが実現できるというのが、すごいことですよね。子供の時は、全然そんなことができるとは思っていなかったのですが、大人になって格闘技デビューして、初めて気付いたんです。「今の技よかったよ」とか、「すげー試合だったね」とか、肌の色が、黒だどか白だとか、僕たち黄色ですけど、そんなこと関係なしに、応援の言葉を伝えてくれる。それってすごいことだと思っています。

---:最後に、今後の意気込みについてコメントをください

佐々木:今後の戦いではトレーニングで付けたパワーと体力を、新たな対戦相手にどう活用してくかが課題になってくると思っています。よりクオリティの高い作品(試合)を魅せれるようにしていきますので、期待していてください。

佐々木憂流迦選手を応援する!
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